2021年5月14日(金)
“トイレに生理用品” 当たり前の世界に
無償配布へ署名運動立ち上げ
「生理用品の無償配布を実現する会」代表 安齊和穗さんに聞く
コロナ禍で「生理の貧困」が問題になる中、生理用品の無償配布を国に求める署名運動が進んでいます。署名に取り組む「生理用品の無償配布を実現する会」代表の安齊和穗さん(47)=神戸市東灘区=に聞きました。(兵庫県・秋定則之)
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「トイレットペーパーと同じように学校や公衆トイレに自由に使える生理用品が当たり前に置いてある、そんな世界を実現したい」と語ります。
中学生の頃から、女性は生理で肉体的、精神的につらいだけでなく、経済的な負担まであることが疑問でした。昨年のコロナ以降、失業や収入減で生理用品が買えず、トイレットペーパーで代用する女性が多いことなどを聞くにつけ、胸が締めつけられ、何とかしたいとの思いを強くしていました。
国会に向け
フランスで無償配布が実現したことを知り、「声を上げたら変わるんだ。自分一人でも運動しよう」と決心。神戸市の学校では生理用品を「借り」て後日、「返却」する必要があるなど学校や自治体による違いをはじめ、さまざまな情報を集めます。3月末、ママ友2人とともに「生理用品の無償配布を実現する会」を立ち上げました。
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フェイスブックで会の設立を知らせたところ、知り合いの宮本たけし日本共産党前衆院議員から「政府に要求を届けたらどうですか。協力しますよ」と提案があり国会に向けたネット署名を始め、署名用紙も作成。要望項目は、(1)自治体窓口での無償配布(2)公共施設に配置(3)小中高、教育施設に無償配置(4)生理用品への消費税撤廃―です。
自分で用紙を増し刷りして集めた署名を郵送してくれたり、「大切な運動。ありがとうございます」という声が全国から寄せられるなど、大きな反響を呼んでいます。
議論活発に
安齊さんは「コロナ対策としてだけでなく、生理用品の継続的な無償支給を行う必要があります」と強調します。つらい生理のために治療を受ける女性の存在、困窮する一人親家庭、ネグレクトの子ども…。電車で出会った女子高生に突然の生理の時にはどうしているのかたずねると、「友達同士で貸し借りしている」と答えが返ってきて、友達のいない子はどうするのかと思ったといいます。
「女性の生理は、人類が子孫を残すためのもの。『生理の貧困』の解決は、女性だけでなく男性と社会、ジェンダー平等の課題です。国会でも地方議会でも、もっと活発に議論してほしい」
「生理用品の無償配布を実現する会」の連絡先=kazuho.anzai.seiri@gmail.com