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2021年5月5日(水)

遠方の小銀河の回転 “天然レンズ”で確認

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(写真)重力レンズ効果を受けた像から復元した遠方の小銀河の内部構造©ALMA/NASA/ESAなど

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(写真)ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した巨大銀河団と、アルマ望遠鏡で観測した遠方の小銀河の像(赤色)を重ねた合成画像。小銀河は重力レンズ効果で増光・拡大され、三つ以上に分かれて見えています©ALMA/NASA/ESAなど

 はるか遠方の小さな赤ちゃん銀河が、天の川銀河(銀河系)と同じように回転している様子が見えた―。国立天文台、東京大学などの研究チームが、宇宙に浮かぶ“天然のレンズ”を使って暗く小さな天体を拡大し、その内部構造をとらえることに成功しました。銀河形成理論に再考を迫る成果だといいます。

 観測したのは、宇宙誕生(138億年前)のわずか9億年後の銀河。天の川銀河の100分の1ほどの質量しかなく、星もガスも少なくて暗いため、通常の観測方法で詳しく調べるのは困難でした。

 研究チームは今回、遠方の銀河と観測者の間に強い重力をもつ天体があると、銀河の光が増幅される「重力レンズ効果」に着目。重力レンズになりそうな銀河団33個の中心領域を、南米チリの巨大電波望遠鏡「アルマ」で観測しました。

 その一つ、うさぎ座の方角にある巨大銀河団による重力レンズ効果を受けた遠方銀河を発見。詳しく調べた結果、129億年前に銀河が放った光であること▽銀河の像が重力レンズ効果で三つ以上に分かれていること▽銀河のある場所が約160倍に拡大されていることが分かりました。

 さらに米ハッブル宇宙望遠鏡などの画像や観測データ、理論モデルを組み合わせて、遠方銀河の実際の姿の復元に成功しました。

 今回の小銀河は、宇宙初期の典型的なものとみられます。当時の銀河の構造はよく分かっておらず、成熟した渦巻き銀河が整然と回転するのと異なり、ガスが不規則な動きをしているという見方もありました。今後、宇宙や地上の次世代望遠鏡の観測で、詳しい内部構造を解明できると期待が高まっています。


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