2021年5月2日(日)
「五輪 子ども“動員”」スクープに反響
都内の園児・生徒81万人
日曜版紹介動画40万回再生
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東京都内の公立・私立幼稚園から高校、特別支援学校などの園児や生徒の約8割にあたる約81万人に東京五輪・パラリンピック競技を観戦させる―。新型コロナウイルス感染拡大前に立てられたこんな計画が、コロナ禍でもそのまま強行されようとしていることが日曜版編集部の調べで分かりました。独自の感染対策もなく、ワクチン未接種の子どもたちをリスクにさらす無謀な計画に、中止を求める声が上がっています。(「日曜版」5月2・9日合併号に詳報)
この記事を告知した日曜版の公式ツイッターの動画は5月1日15時時点で約40万回再生されるなど、大きな反響を呼んでいます。
問題となっているのは、子どもに競技を観戦させる「学校連携観戦」です。大会組織委員会がオリパラ教育のいっかんと位置づけ、チケットを用意。費用を東京都など各自治体が公費で負担し、各学校に割り当てます。全国で約128万人が参加を予定していました。
もともとこの計画は感染拡大前につくられたもの。感染リスクはまったく考慮されていません。例えば―。
競技場への移動は電車やバスなど公共交通機関を利用することとされています。いまこの通り運用すれば、ワクチン未接種の子どもたちが密になり公共交通機関で移動することに。「学校単位で生徒が乗ればかなり密になる。はっきりいって計画は破たんしている」(小学校教諭)と現場からも批判の声が上がります。
観戦「事実上の強制」 保護者ら批判の声
変異株は若い世代でもおとなと同じように感染しやすく、重症化の可能性が従来より高いという指摘もあります。この間、変異株による学校クラスターも確認されています。
しかも、観戦対象にはビーチバレーなど屋外競技も。炎天下のマスク観戦で熱中症の恐れが指摘されています。
学校現場を顧みない、夜間や土・日など休日を含む日程も。教育関係者は「チケットの枠ありきで組まれたからにほかならない」と指摘します。
しかも、観戦当日が授業日の場合、観戦できないと「欠席扱い」(都立学校)に。保護者や学校関係者からは「事実上の強制だ」との声が上がっています。
都は今年度で学校連携観戦関連予算に約41億円を計上。これにはチケット代や人件費なども含まれます。
組織委や都は公費負担の事業にもかかわらず、なぜか現在の観戦予定者数を非公表としています。
編集部の取材に都の教育庁は「都としてやめることはない」と回答。大会組織委員会は「観客に係る対策などはコロナ調整会議において議論された内容を踏まえて検討する」と回答。現状でも独自の感染対策がないことを認めています。
東京都教職員組合は、子どものオリパラ観戦と中学生のボランティアを直ちに中止するよう都教委に申し入れています。