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2021年5月1日(土)

温暖化ガス排出削減目標

ドイツ憲法裁 将来の権利侵害 違憲

若者・環境団体「画期的判決」

 ドイツの憲法裁判所は29日、気候保護法で定められた温室効果ガス排出削減目標は不十分であり、部分的に基本法(憲法)違反だとする判決を出しました。訴えを起こした「未来のための金曜日」の10~20代の若い活動家や環境団体は、気候保護を憲法上の権利として認めた画期的判決だと歓迎しています。(伊藤寿庸)


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(写真)「母(なる地球)を尊重しよう」「これは世界的な警告だ」と書いたプラカードを掲げる若者ら=3月19日、ベルリン市内(桑野白馬撮影)

 ドイツは2030年までに1990年比で55%の排出削減を目標としており、2019年に連邦議会で気候保護法として採択されました。しかし気候活動家らは、削減量が不十分だとして憲法裁に訴えていました。

 判決は、30年までの削減目標については問題にしませんでしたが、気候保護法が削減の大きな部分を31年以降に先延ばしにしていることが問題だと判断。原告ら将来世代が「自由の大幅な喪失」によって権利を侵害されると述べました。

 憲法裁が判決の根拠としたのはドイツ基本法20a条。国が「将来世代に対する責任」からも、「自然的な生活基盤および動物を保護する」と定めています。

 判決は、気候保護について、パリ協定で定めたように今世紀末までの地球の平均気温の上昇を1・5度未満に抑えることを意味すると指摘。その達成のため30年より後に大幅で急激な排出削減をおこなうことになり、「実際上あらゆる自由が影響を受ける」と判断しました。

 これにより、連邦議会は来年末までに31年以降の排出削減のロードマップを示す必要があります。シュルツェ環境相は、同省の政策への後押しとなるとコメントしました。

 ドイツの「未来のための金曜日」の活動家で原告の1人、ルイーザ・ノイバウアーさんは、「この3年間、街頭に出てきた若者たちにとって、信じられないほど素晴らしい日だ」とコメント。原告側弁護士のロダ・フェアハイエン氏は「連邦憲法裁は、あらゆる予想を上回った」と歓迎し、世界中で同様の訴訟がたたかわれており「この判決は新しい基準を定めた」と述べました。


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