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2021年4月26日(月)

小池書記局長と山添議員対談(上)

少年法改定案・入管法改定案考える

少年の立ち直りの機会奪う

党 YouTubeチャンネル

 今国会に提出されている少年法改定案と入管法改定案。17日配信の日本共産党のYouTubeチャンネル「YouTuber小池晃」では、人権を大きく後退させかねない重大な法案なのによく知られていない問題として、この2法案をとりあげ、小池晃書記局長と山添拓参院議員が対談しました。


写真

(写真)入管法と少年法について話し合う小池晃書記局長(左)と山添拓参院議員(「YouTuber小池晃」から)

そもそも少年法とは

 まずは、少年法改定案です。番組では、そもそも少年法とは何か、から解き明かしました。

 山添氏が、戦前から戦後にかけての大きな変化があったことを指摘。戦前の少年司法は少年を「軍事資源」として活用する位置づけだったのが、戦後、日本国憲法のもとで少年を保護の対象とし、人権・主権の主体と位置付け、健全育成を図るとされました。

 山添 少年事件は刑事事件であり、自由を奪う判断をすることもありますが、それを検察官ではなく、どう保護し健全育成を図るのかという見地で家庭裁判所が行う。ここが大きな転換点です。家族・人間関係、成育環境など、少年事件は背景があることがほとんどなんです。

 小池 虐待を受けた人が多いと聞きます。

 山添 おとなと同じような裁判ではなく、少年一人ひとりに寄り添って、科学的な知見に基づき、立ち直りを進めていくという位置づけです。このときに、適用対象も18歳から20歳未満に引き上げたんです。

 小池 少年法は日本国憲法にもとづく法制度なんですね。

第1の問題―刑事事件の範囲が拡大

 改定案の三つの問題点について話が進みました。

 一つめは、18歳・19歳の少年を「特定少年」と位置付けることです。民法で成人年齢が18歳に引き下げられたのを受けて少年法の年齢引き下げも議論になりましたが、与党内からも反対意見が出て、改定案で「特定少年」という概念が新たに出てきました。少年とも成年とも異なる扱いとし、刑事事件となる範囲が拡大します。

 山添 少年事件では警察・検察が捜査し、家庭裁判所に送られます。ただ一定の事件は検察に戻す「逆送」が行われます。改定案は「原則逆送」の事件を増やします。

 小池 全部の事件を検察に戻す?

 山添 全部ではないけれど、一定の事件は戻す。現行法では故意による殺人・傷害致死事件は逆送されます。これを大幅に広げて、強盗や強制性交なども含まれます。一般の刑事事件と同様の扱いになる分野が大幅に増え、数十倍になる可能性があります。

第2の問題―実名報道が野放しに

 二つめは、「推知報道」の解禁・拡大です。現行法では、実名や顔写真など本人と推定できる報道を明文で禁止していますが、改定案では起訴された段階で解禁します。

 小池 推知報道、難しい言葉が多い。実名も含む?

 山添 実名でなくても写真や住所など本人とわかるような報道の仕方です。SNSの時代で、その情報が一度ネットに出ると、ずっと残るんです。それが少年の立ち直り、将来の就職などに影響するのではないか。

 山添氏は、成人の事件でも推知報道をしていいという規定はなく、起訴された段階では無罪推定だと指摘。「裁判の結果、無罪と変わる可能性もある。そうなると取り返しのつかない事態をもたらすことになる」と述べました。

第3の問題―保護の対象が狭くなる

 三つめは、犯罪に至らないまでも、将来罪を犯すおそれのある虞犯(ぐはん)です。改定案では、18歳・19歳の「特定少年」を虞犯の対象とせず、保護の対象から外します。

 小池 もう漢字も思い浮かばない。難しい言葉が本当に多い。

 山添 家出や飲酒・喫煙などをしたり、させたり、夜の繁華街をうろつくなどですね。これには、家にいると虐待を受ける、性的被害を受けるなどの背景があります。

 こうした少年への保護が重要だという山添氏。訪れた群馬県の女子少年院・榛名女子学園での話を紹介し、「18歳、19歳の女子の虞犯少年は多い。とくに性的搾取の対象になる。繁華街で家出や帰る場所がない少女に声をかけAV(アダルトビデオ)出演や風俗業をさせるなどです」と指摘しました。

 小池 そういう人はいままでは少年院での保護対象にしていた。これが対象外になると、保護せずに放置するんだ。積極的に支援して、立ち直る措置をとらなくする。

 山添 支援を必要としながら受けられずに、そういう年齢になる人もいる。榛名女子学園の職員に聞くと、少年院に入っている人は、少年院で初めて「規則正しい生活をする」「いろんな人と話をする」「静かな空間で読書をする」などを経験したとか、「1日3食の生活は初めてだ」と話すというんです。そういう立ち直りの機会を奪うのではないか。

コロナ禍 若者の苦境に手を

 ここで番組に寄せられた質問が紹介されました。「選挙権や成人年齢が18歳になるから、それに合わせるのでは」との問いに、山添氏は「法律で年齢を定めるのは目的によって異なり、いろいろなので、合わせる必要はない」と回答。小池氏も、酒・たばこは20歳からとの例も示し、民法で成人年齢を18歳にしたからといって引き下げる必要はないと指摘しました。

 「少年犯罪は増えていて、凶悪化しているのでは」との質問では、山添氏が小池氏に「少年犯罪が増えたという印象は?」と質問しました。

 小池 いや。減っているんですよね? 統計を見ると。ときどきセンセーショナルに取り上げられるから勘違いされやすいけれど。

 山添 いま少年犯罪は2万人くらいで、ピークは1983年で、9割減っています。

 山添氏は、少年事件の3割が万引きなどの窃盗で、凶悪犯とされる殺人・強盗・強制性交などは全体の1~2%だと指摘しました。

 小池氏は、コロナ禍で20歳前後の若者が苦境に陥っている実態を指摘し、「いま政治がなすべきは、そうした若者に手を差し伸べることだ」と強調。山添氏も「少年法は有効に機能している」との現場の声を紹介し、「それを変える必要はない」と述べました。

 「少年犯罪の被害者の思いを考えると仕方ない改正では」とのコメントには、山添氏が「被害者・遺族の意見は深刻だと思う。ただ、被害者団体からも法案について反対の声明が出されています」と回答しました。小池氏も「厳罰化が(被害者・遺族の)無念を晴らすことになるのか。社会で生きていけなくするよう逆に追い込んでいけば、次の犯罪につながる恐れもある」と語りました。

 (つづく)


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