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2021年4月19日(月)

二つの異常をただす民主主義革命の展望語る

千葉・船橋でCゼミ 志位委員長が講義

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(写真)船橋社会科学ゼミナールで講演する志位和夫委員長=17日、千葉県船橋市

 日本共産党の志位和夫委員長を講師に、政治や社会問題について青年・学生と学ぶ「船橋社会科学ゼミナール」(通称Cゼミ)第5回が17日夜、千葉県船橋市で開かれました。今回のテーマは「二つの異常と民主主義革命」。志位氏は、アメリカや財界が支配する日本政治の異常な現実を告発し、「国民が主人公」の日本をつくる民主主義革命の展望を語りました。

 志位氏は、日本の政治が「アメリカいいなり」、「財界中心」という二つの異常なゆがみを抱えていると指摘。いま日本が必要としている変革は、二つのゆがみをただし、憲法通りの国民が国の主権者となる日本をつくる民主主義革命だとして、改革の中身を語りました。

「米軍が日本を守っている」は神話

 一つは、アメリカの従属国から脱し、真の独立国となることです。

 志位氏は、世界各地に駐留する米兵17万人のうち、3分の1にあたる5万6千人が日本に駐留する特異な実態を説明。在日米軍が日本防衛とは無縁の海外への「殴り込み」部隊で成り立つ異常さを詳しく語り、「『米軍が日本を守っている』というのは神話です」だと述べました。

 また、日米地位協定が世界に類のない米軍特権となっている実態や、アメリカの戦争にノーと言えない従属外交ぶり、安保法制で日本がアメリカの戦争に参加し軍事的緊張の震源地となる危険性を詳しく解明。

 「アメリカいいなり」政治を打ち破るためには、(1)安保法制廃止など緊急課題で共同を進めながら、(2)日米安保条約廃棄の国民多数派をつくる独自の努力の「二重のとりくみ」が必要だと訴えました。

生涯賃金でみると女性は男性の33%

 二つは、大企業・財界の横暴な支配を打破し、「ルールある経済社会」を築くことです。

 志位氏は、「日本では大企業・財界の横暴勝手がヨーロッパとくらべても特別にひどい」と強調。日本とヨーロッパとの比較で「ルールなき資本主義」の実態を、雇用、ジェンダー平等、社会保障、中小企業、農業、環境、教育など各分野で、最新のデータを紹介して明らかにしました。

 このなかで、志位氏が、男女の賃金格差がヨーロッパに比べても大きいこと、政府の賃金構造基本統計に基づいた試算で、男女の生涯賃金は、男性が2億4989万円に対し、女性は8359万円と男性の33%しかない実態を示すと驚きの声があがりました。

 マルクスの『資本論』の言葉を紹介しながら、大企業の民主的規制によって「ルールある経済社会」をつくることが、必然的、合理的方針であるとともに、そこに進むには人民のたたかいが必要であると述べ「人民のたたかいこそ、『ルール』をつくる力です。ともにたたかって人間らしい暮らしが保障される新しい社会をつくりましょう」とよびかけました。

 その上で志位氏は、民主主義革命が達成されれば、アメリカの従属国から抜け出し日本国民が初めて国の主人公となり、日本が戦争や軍事的緊張の根源であることをやめて、世界とアジアの平和の発信地へと歴史的な大転換をとげると主張。「この大目標にむけご一緒に進んでいきたい」と話しました。

自衛隊は? 中国との関係は?

 質疑では「日本が独立したら軍隊をもつのか」との質問が出されました。志位氏は、安保条約の廃棄で日本が独立国になれば、日本が米国の戦争の根拠地とされている危険な現状から抜け出し、「平和への巨大な一歩を踏み出すことになる」と強調。安保条約を廃棄しても、すぐに自衛隊は解消できないと述べ、平和外交で各国と友好関係を築き、東アジアの平和的な国際環境を成熟させて「自衛隊がなくても安心」という状況をつくる改革を進めていきたいと語りました。

 中国の覇権主義についての質問も。志位氏は、中国社会の歴史的な弱点を指摘。過去に中国の政権党自身が“わが国には大国主義の伝統がある”と述べ、「文化大革命」後には“封建的専制主義の悪弊は克服できなかった”と反省する論文を出したことを紹介し「こうした大国主義と封建主義の悪弊がいま噴き出している」と述べました。

 16日の日米首脳会談では、中国の行動に対し国際法に基づいた批判をしないまま軍事同盟強化の方向が打ち出されており、「これでは軍事対軍事の悪循環になる」と指摘。「国際社会が、国際法の順守を冷静な外交の力で求めていくことが大事」と語った志位氏に対し、参加者から「武力でない解決の道が知れてうれしい」との声が出されました。


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