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2021年4月14日(水)

きょうの潮流

 「あのときの経験と教訓をむだにせず、災害への備えにとりくむことが大切」。祖父母を亡くした女性が遺族を代表して訴えました▼甚大な被害をもたらした熊本地震から5年。2度にわたる震度7の揺れで家々がつぶされ、まちの様相が一変した益城町(ましきまち)では追悼式が開かれました。建物や道路の復旧は進みますが、いまだに50世帯150人以上が仮設住宅でくらしています▼「5年といわれても先が見えず、気持ちを表す言葉もない」。夫婦で仮設生活を余儀なくされている71歳の男性は、いっこうに自宅を再建できない現状にいら立ちをあらわにしました。町を横断する県道の4車線化と区画整理が推し進められ、移転先も決まらない状態です▼住民の多くが反対や不安を口にする復興事業や計画。それは暗い影を落としています。地元紙の被災者聞き取りでは、現在や今後の生活に不安や不満があるという人が半数をこえました。豪雨やコロナの追い打ちもあり、日々の苦悩がうきぼりになっています▼大型開発が目立つ一方で置き去りにされていく被災者や防災。削られた山肌が残る阿蘇地域では人口減少に歯止めがかかっていません。田んぼが地割れした農業者は実情に見合った支援を求めます▼被災者の声を届けてきた甲斐康之・共産党益城町議はやることが逆さまだといいます。「災害に便乗する開発型の復興ではなく、県民のくらしと生業(なりわい)に力を注ぐ。それが政治の役割ではないか」。いまや各地に広がる被災地に共通する思いです。


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