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2021年3月31日(水)

「領土」など政府見解

文科省 高校教科書の検定結果

 文部科学省は30日、2022年4月から使用する高校の教科書の検定結果を公表しました。18年に高校の学習指導要領が改定されてから初の検定で、「歴史総合」「公共」など新科目の教科書が登場しました。領土問題や戦後補償問題で政府の見解を書き込ませる検定意見が目立ちました。

 今回検定の対象になったのは22年度から主に高校1年が使う教科書です。学習指導要領の改定で教科・科目が大幅に改編され、日本史と世界史を統合した「歴史総合」や、これまでの「現代社会」に代わって必修科目として設けられた「公共」の教科書ができました。

 国語では実用文を重視したとされる「現代の国語」、「我が国の伝統と文化」に重きを置いた「言語文化」が登場。コンピューターのプログラミングなどを扱う「情報I」や、数学的な見方・考え方と理科の見方・考え方を組み合わせるという「理数探究基礎」が新設されるなど、教科書が様変わりしました。

 「歴史総合」や「公共」の検定では「固有の領土である竹島や北方領土…尖閣諸島…を取り上げること」などの学習指導要領の規定をもとに、記述を政府見解通りに修正させた検定意見が多数ありました。戦後補償問題について「解決済み」と書き込ませた例もありました。

 今回の検定で、各学科共通の11教科では248点の教科書が合格し、歴史総合で1点が不合格になりました。昨年度の中学校教科書の検定で不合格になった侵略戦争を美化する自由社の歴史教科書が、修正の上で再申請され、合格しました。

 教科書検定 出版社が編集した教科書が、学習指導要領などの基準に沿っているかを文部科学省が審査する制度。基準に合わないとされた部分には検定意見が付き、修正して合格しなければ教科書として使えません。2014年には、政府見解に基づいた記述をすることが検定基準に加えられました。


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