しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年3月26日(金)

少年法改定案

藤野議員の質問(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の藤野保史議員が25日の衆院本会議で行った少年法改定案についての質問は次の通り(要旨)です。


 本案は、18歳及び19歳の少年を「特定少年」と新たに規定し、「虞犯(ぐはん)」の対象としないなど保護と更生の機会を失わせるものです。さらに、検察官送致の対象事件を大幅に拡大し、起訴後は「推知報道」を解禁するなど、少年法を厳罰化しようとしています。

 少年法第1条は、「少年の健全な育成」を根本理念としています。これは、戦後、日本国憲法の精神に基づいて、教育基本法や児童福祉法と並んで、少年を保護の客体であると同時に、人権・権利の主体として、その保護と更生を図るためです。

 現行法は、成人では不起訴になる事案でも全て家庭裁判所に送致する「全件送致主義」をとっています。家裁調査官が少年の資質や犯罪の背景にある家庭環境等をきめ細かく調査し、教育的観点から処遇を決定しています。なぜ「特定少年」について、その大事な役割を奪うのですか。

 少年法改正論議は、民法の成人年齢引き下げとの「国法上の統一」から始まりました。しかし、それぞれの法律の年齢区分は立法目的によって決められるべきであり、実際、飲酒や喫煙等の成年年齢は20歳のままです。なぜ18歳、19歳の少年について、少年法の保護を外して厳罰化するのですか。

 現行法は、「被害者の死亡」という重大かつ明白な結果が発生している場合に限って、検察官に原則逆送するとしています。ところが本案は、法定刑の下限が「短期1年以上」の罪にまで大幅に拡大しようとしています。逆送事件の拡大は、多くの少年から立ち直りの機会を奪い、逆に再犯の可能性を高めるのではありませんか。

 本案は、検察官送致の対象に拡大された事件について、起訴後、「推知報道」を解禁しようとしています。ネット時代において、ひとたび実名等がさらされれば、半永久的に残り、本人や家族に深刻な影響を与えます。「推知報道」の解禁が少年の立ち直りを阻害する危険性についてどう考えているのですか。

 本案は、「特定少年」について「虞犯」の規定を適用しないとしています。性風俗産業やJKビジネスへの従事は、典型的な「虞犯」の一つと言われています。「特定少年」が児童福祉法の対象とならない現状では、「虞犯」をきっかけとする保護処分が少年たちのセーフティーネットとして重要な役割を果たしているのではありませんか。

 少年犯罪は年々減少し、少年法を厳罰化する立法事実はありません。政府がやるべきは、少年法に携わる人や現場への支援を抜本的に強化することです。


pageup