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2021年3月25日(木)

感染不安で学校行けない子たち

学ぶ権利を保障して

保護者「オンライン選択など導入を」

 新型コロナウイルスへの感染の不安から学校に行けない子どもたちがいます。「自主休校」とも呼ばれていますが、1年以上学校に行けていない子もおり、学ぶ権利が保障されていません。保護者らは、登校か、オンライン授業などによる自宅学習かを選べる「登校選択制」を求めて立ち上がっています。(保護者は仮名)(高間史人)


 東京都の森野洋子さん(36)の小学3年の長男は、難病のため感染症にかかりやすく、新型コロナにかかった場合は重症化しやすいともいわれています。長男自身が大きな不安を感じ、昨年2月、全国一律休校になる1週間ほど前から学校に行っていません。

 家では学校から渡されたプリントをやったり、森野さんが教科書を読んであげたりしています。「でもなかなか集中できないようです。うちは私が見ていますが、親が働いていたりする家庭は大変だと思います」。友達や教員とのコミュニケーションがなくなったことも心配です。

 埼玉県の林田登美子さん(53)の小学2年の長女も一律休校の前から学校に行っていません。家族に体が弱い人がいるうえ、本人も感染を怖がっているからです。

 林田さんは「対面での学習の大切さは十分理解しています。本当は学校に行かせたい。でもそれができない子もいます。せめてオンライン授業を実施してほしい」と語ります。

 感染リスクから学校に行けない子どもの多くは「出席停止」の扱いです。「欠席」ではありませんが「出席」とは認められません。

進路にも影響

 林田さんの長女の通知表の成績欄は斜線が引かれているだけ。「中学生や高校生には進路にもかかわる問題です」といいます。

 「自主休校」の子どもは全国にいますが、文部科学省はその人数を把握していません。ICT(情報通信技術)の活用を図る「GIGA(ギガ)スクール構想」によって、公立小中学校の児童・生徒には1人1台の端末の配布が進みました。しかし、「自主休校」の子どものためのオンライン授業などは自治体・学校の判断にゆだねられています。

 オンライン授業を実施し、受講した子どもを出席扱いしている自治体もありますが、ごく一部です。自治体任せでなく、国がきちんと対応することが求められています。

 森野さんは議会に陳情を出したり、教育委員会に申し入れたりして、登校できない子どもへの対応を求めてきました。学校側の努力もあって先月末から「朝の会」だけオンラインで教室と家をつなぐことが実現しました。名前を呼んでもらい、返事をして、友達と手を振り合う長男。笑顔が増えました。

「会」立ち上げ

 林田さんは昨年6月、ネット上で知り合った同じ悩みを持つ保護者たちと「全国で登校選択制導入を訴える会」を立ち上げました。森野さんも参加しています。会は、オンライン授業の早期実施などで、子どもが自宅で学ぶことを選択できる「登校選択制」を導入してほしいと、全国1102自治体に要望書を提出しました。

 森野さんはいいます。「選択制は、感染への不安を抱えながら登校している子にも万一のときの希望になります。変異株も広がる中、不安を持つ子どもたちに手を差しのべられる社会になってほしい」


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