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2021年3月22日(月)

主張

教員免許更新制

弊害は明らか 早急に廃止を

 萩生田光一文部科学相が12日、教員免許更新制の「抜本的な見直し」について早期に結論を出すよう中央教育審議会に諮問しました。同制度は現場の過重負担などから、全教や日教組に加え、地方自治体なども廃止を要望しています。日本共産党は導入時から反対し、廃止を求めてきました。

全国市長会も強く批判

 教員免許更新制は、1度取得すれば生涯の資格となる従来までの仕組みと異なり、10年に1度、30時間程度の「更新講習」を受講しないと免許が失効する制度です。「効果はなく弊害だらけ」という反対の声を押し切り、第1次安倍晋三政権が導入しました(2007年法制化、09年実施)。

 実施から10年あまり、行き詰まりは誰の目にも明らかです。

 何より、教員不足を深刻化させたことです。例えば産休・育休や病休の教員に替わる臨時教員が見つからなくなりました。臨時教員の候補は、普段は教職についていません。これらの人たちが、免許更新していないため雇えない例が相次ぎ、授業に穴が開く学校も出ています。

 50歳代で免許更新を迎え、そのまま退職する教員も少なくありません。さらに、教員免許を期限付きとしたことは学生の教職への意欲を低下させました。教員不足は、少人数学級の足かせともなります。

 教員の負担も深刻です。異常な長時間労働はいまだ改善されていません。そのもとで自ら休みをとって受講し、受講料、交通費、場合によっては宿泊費まで自己負担するのが「更新講習」です。

 萩生田文科相は「教師が多忙な中で、経済的・物理的な負担感が生じている」(12日)と認めました。全国市長会は「教職員の負担感はかなり大きく、研修に関する満足度は低い」と批判し、全国高等学校PTA連合会も、不都合が多いとして廃止を求めています。

 制度導入時に政府は「すべての教師が10年に1度、定期的に知識技能を刷新し、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得る」ことを目的に掲げました。しかし、その目的自体に無理があります。教員の知識技能は、そのような講習で「刷新」できるような軽いものではありません。

 「教職は、厳しい不断の研究により得られ、かつ、維持される」専門職です(ユネスコ「教員の地位に関する勧告」1966年)。子どもの権利や個人の尊厳への思索、各教科を教えるための豊かな知識、人生に対するさまざまな経験、現代社会の諸問題への関心―そうした知識技能は絶えざる研究・修養全体で維持されていくものです。

 「更新講習」は、代替になりえません。せいぜい研究と修養のごく一部になるだけです。そういう講習の有無に免許を失効させる力を持たせたことに、制度の根本的な矛盾があります。

現場の声を聞き決断を

 無理な制度で弊害を起こしたことは重大です。

 中教審の部会は制度見直しに際し、「最終的に現場の教師の認識というものを適切に把握することが、検証の完了に当たっては必要不可欠」と指摘しました。政府・与党には、小手先の「改善」で制度を存続させる動きもあります。

 国は、現場教員の意見をありのままに把握し、制度廃止に踏み切ることを決断すべきです。


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