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2021年3月12日(金)

論戦ハイライト

“原発ゼロ”が事故の教訓

参院予算委 岩渕氏が追及

支援の継続・強化を

写真

(写真)質問する岩渕友議員(右)=11日、参院予算委

 東日本大震災と福島第1原発事故から10年となった11日の参院予算委員会で、日本共産党の岩渕友議員は「いまだ多くの課題が残されている」として被災者支援の継続・強化を求め、原発事故に対する国と東京電力の責任を追及しました。

 岩渕氏は、前日に共産党が提言を発表し平沢勝栄復興相に申し入れたことに触れたうえで、宮城民医連の調査で災害公営住宅に住む人の3割が入居後に健康状態が悪化し、6割近くに抑うつ傾向があったと指摘。健康状態、在宅被災者の実態、住まい再建や災害公営住宅の家賃、生業(なりわい)の再建、心のケアやコミュニティーづくりなど「時間の経過とともに問題が多様化しているが、実態が十分につかまれていない」と述べ、政府として実態を調査・把握するよう求めました。

 平沢復興相は「地域によって状況はさまざまだ。寄り添いながら復興に全力を挙げる」と答弁。岩渕氏は「被災者と被災地は、その後の相次ぐ災害や漁業の不振、コロナと何重にも苦しんでいる」と重ねて迫りました。

汚染水放出

 岩渕 期限を区切るのではなく、支援・対策の強化・拡充を。

 平沢 意見を踏まえ、しっかり検討したい。

 岩渕氏は、福島第1原発で発生した汚染水の海洋放出をめぐり、全国漁業協同組合連合会(全漁連)が断固反対の特別決議を全会一致で採択したと強調。福島県内7割の市町村議会も反対や慎重な対応を求める意見書を可決し、東北市議会議長会は「関係者のこれまでの努力を裏切るもの」だと厳しく指摘していると述べました。

 そのうえで、国と東京電力は15年に福島県漁連と「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わず、タンクに貯留する」と約束しているとただしました。

 岩渕 この約束に変わりはないか。

 東電・小早川智明社長 県漁連との約束をほごにする考えはない。

 梶山 ギリギリまで協議・説明していく。

結論ありき

 岩渕氏は、梶山経産相の含みのある答弁に対し、「9日に閣議決定した復興基本方針には、“関係者の理解を得る努力”は書かれず、“適切なタイミングで結論を出す”とある。結論ありきだ」と批判。「最新の県民世論調査では53%が海洋放出に反対だ。タンク保管継続のために英知を結集すべきだ」と求めました。

 2月の福島県沖地震で福島第1原発3号機の地震計故障を東電が放置していた問題が発覚したことについても、「東電の隠蔽(いんぺい)体質と危機管理のなさに怒りの声が上がっている」と強調。10年来のこうした姿勢が住民の不安に拍車をかけ、「帰ることを決めたばかりなのに」「原発がまた爆発するかと思うと帰る選択にならない」との声が寄せられていると述べました。

 岩渕氏は「被害者の生活と生業の再建を妨げているのは東電だと認識しているか」と追及。小早川社長は「10年間、復興や帰還に水を差さないよう細心の注意を払ってきた」と、これまでの姿勢を正当化しました。

 岩渕氏は「原子力緊急事態宣言は今も解除されていない。事故原因も究明されておらず、検証が必要だ。“原発ゼロ”が事故の最大の教訓であり、被害者の願いだ」と指摘。野党が共同提出している原発ゼロ基本法案の成立とエネルギー政策の転換を強く求めました。


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