2021年2月2日(火)
論戦ハイライト
新型コロナ 特措法など罰則導入案ただす
衆院内閣委・同委と厚労委の連合審査
新型コロナウイルス対応の特別措置法、感染症法等改定案の審議が1日、衆院の内閣委員会、同委と厚生労働委員会との連合審査で行われ、日本共産党の塩川鉄也、宮本徹両議員が罰則導入に反対し、「正当な補償」を行うよう求めました。
国民に責任転嫁 正当な補償を
塩川議員
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「新型コロナの感染防止に必要なのは、罰則ではなく正当な補償だ」。塩川氏は、コロナの特措法への罰則の導入は、不利益を被る国民の側を「犯罪者」扱いするもので、結局、国民に責任を転嫁し、国が行うべき補償を免れようとするものだと厳しく批判。西村康稔経済再生担当相が現行特措法で営業の自粛等に対する補償がない理由について、昨年4月、罰則を伴う強制力がないこととのバランスだと答弁していたことを指摘。「公的補償を規定しない根拠は崩れている」として国の姿勢をただしました。
塩川 罰則を導入したのに補償措置は行わなかった。答弁と齟齬(そご)があるのではないか。
担当相 公共の福祉のためにする一般的な制限であれば受忍すべきであり、損失補償を要件としないと整理されている。
塩川氏は、罰則導入ではなく、事業規模に応じた補償等「正当な補償」を明記する法改定をしてこそ、感染症対策への協力は進むと主張。2012年の特措法審議の際、参院付帯決議に「権利利益の救済に関する制度」の検討条項があったと指摘し、「救済制度の検討もせず、罰則だけを押し付けるのは認められない」と強調しました。
さらに塩川氏は、宣言前の「まん延防止等重点措置」でも私権制限や罰則があるにもかかわらず、国会報告の義務すらない問題を追及しました。
担当相 私権制約の程度が小さいこと、機動的に行うことから、国会報告は必要ないとした。
塩川 重点措置の前段階である(新型コロナの)政府対策本部の設置は国会報告を義務づけているのに、罰則を定める重点措置は権利制限が小さいから必要ないという理屈は成り立たない。
塩川氏は、重点措置は都道府県知事が定める事業者への要請事項も、対象業態も政令で定めるなど「非常にあいまいだ」として、「国会の関与を認めず、国民に罰則を押し付ける恣意(しい)的な運用が懸念される」と批判しました。
やむなく調査拒否 対象の恐れ
宮本議員
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宮本氏は衆院内閣・厚生労働両委員会連合審査会での質問で、保健所の疫学調査などを拒否した感染者に罰則を科す感染症法改定案の問題点を追及。やむを得ず調査に協力できない複数の事例を挙げ、罰則対象になるかと問うたのに対し、田村憲久厚生労働相は「ならない」とは答えませんでした。
宮本氏は、保健所長が「患者さんには、自分の大切な人々に感染させたのではと自分を責めるなどの精神的負担が生じている。自分を責める患者さんに『言わなければ罰として過料ですよ』とは言いにくい状況がある」と語ったことを紹介。患者と家族の療養支援も担っている以上、「患者に寄り添い、理解を得る中で調査を進めたい。過料とはそぐわない面がある」と述べているとして、次のようにただしました。
宮本 罰則は、自分を責めている患者を追い詰めることになるのではとの指摘を否定できるのか。
厚労相 なるべく罰則適用にならないよう自治体には制度運用していただきたい。
宮本氏は、取材源を秘匿すべきメディア関係者が取材対象者を明かすことはできないと協力を拒めば、過料の対象になるのかと質問。田村厚労相は「取材目的で会ったのか、取材相手に会ったのかと聞くわけではない」と述べ、宮本氏は「単に誰に会ったかとの質問に、メディア関係者が答えられないと言えば、過料の対象になりうるという答弁だ」と強調しました。また、疫学調査に協力できない事例を挙げ、次のように質問しました。
宮本 友人が濃厚接触者になれば、2週間自宅待機で仕事ができず無収入になるため、調査に協力できない時は過料の対象になるのか。
厚労相 その友人が感染した可能性もある。その人の健康を守るのは重要なことだ。
宮本氏は「過料の対象にならないとは言わない」と指摘。罰則をもうければ検査を受けなくなり、感染コントロールが困難になると批判しました。