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2021年1月27日(水)

きょうの潮流

 バラエティーやクイズ、ドラマにとお笑い芸人は、テレビには欠かせない存在です。そこへ昨年、「テレビで会えない芸人」と題したドキュメンタリーが放送され、一石を投じた感があります▼政治・社会を風刺する芸人の松元ヒロさんに1年間密着した番組です。故郷の鹿児島テレビが制作。ネタ作りで葛藤し、本番では生きいきと演じ切る姿が鮮やかです。かつてコント集団「ニュースペーパー」の一員としてテレビにも登場していました。それがなぜ―▼「ハッキリとモノを言いたかった。小さな声に耳を傾けることに意味がある。今のテレビでは忖度(そんたく)がまかり通る」。番組の中で、ヒロさんがテレビから離れた理由を語っています▼考えさせられるのが、今の社会のありようです。異質なものを攻撃し、排除する風潮になっていないか。制作スタッフの問題意識はここにありました。プロデューサーは「見てくれる人たちを信じて作った」と▼見る側も現在のテレビに満足はしていません。BPO(放送倫理・番組向上機構)に声が寄せられています。「50度に熱した油をコロナ対策の消毒用ボトルに入れた」「トゲ付きの皮のままパイナップルを食べさせたのはまるでイジメ」。BPOは、かねて「視聴者はお笑いに知的な要素も求めている」との意見を示しています▼ヒロさんの番組はFNSドキュメンタリー大賞、民間放送連盟賞などを受賞し、注目されました。これをきっかけに「テレビでも会いたい芸人」が実現しないものでしょうか。


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