2021年1月27日(水)
「個別最適」と「協働」強調
中教審答申 ICTの日常活用 提言
中央教育審議会(文部科学相の諮問機関、会長=渡辺光一郎経団連副会長)は26日、今後の小中高校などでの教育についての答申を出しました。「令和の日本型学校教育」として、「個別最適な学びと協働的な学び」の実現、情報通信技術(ICT)の「日常的活用」を提言しています。
今回の中教審答申は、産業界や経済産業省に、人工知能で子どもの学習記録を解析し、個別最適化された教材・プログラムを提供するといった教育を進めようとする動きがある中で出されました。
答申は、「一人一人の子どもを主語にする学校教育」を目指すとし、個々の特性や学習進度、興味・関心などに応じた「個別最適な学び」を強調。同時に、それが「孤立した学び」に陥らないように、多様な他者と「協働」し他者を尊重する「協働的な学び」が重要で、異なる考えから学ぶことが大切と指摘し、経産省などとは一定の距離を置きました。
一方で教育内容や方法を細かく規定した学習指導要領の「着実な実施」を掲げました。
1人1台の端末整備が進むICTの日常的活用を求め、子どもの学習履歴の蓄積・利活用も盛り込みました。同時にICTの活用自体が目的化しないようにするとしました。
ICTの活用は重要な課題ですが、現場の自主性を尊重すべきです。民間の教育産業の無制限な参入による公教育の市場化への懸念もあります。学習履歴の利用には情報管理や学習内容・方法の統制強化、定型化につながるなどの面から強い批判の声が出ています。
答申はこの他、少人数編成などきめ細かな指導体制の検討、特別支援学校の設置基準の策定を明記。小学校高学年への教科担任制の本格的導入や高校の普通科を多様な学科に改編することを提起しました。