2021年1月14日(木)
「医療壊滅の恐れ」
日医会長「崩壊全国で」
早めの対策を政府に迫る
日本医師会の中川俊男会長は13日、都内で定例会見し、新型コロナウイルス感染症の拡大で逼迫(ひっぱく)する医療提供体制の現状について、「全国的に医療崩壊はすでに進行している」と強調しました。「このまま新規感染者数の増加が続くと、医療壊滅になってしまう恐れがある」として、手遅れにさせないため全国的な緊急事態宣言発令の検討も含め、政府に早め早めの対策を迫りました。
中川会長は「首都圏をはじめ、通常の入院患者の受け入れを断るなど、すでに医療崩壊の状態になってきている」と指摘。心筋梗塞、脳卒中で搬送される患者の受け入れ先が見つからなかったり、予定されていたがんの手術が延期されたりする事態が現実化していると述べました。
その上で、医療崩壊の定義について「必要な時に適切な医療が提供できない、必要な時に適切な医療を受けることができない状態だ」と説明。「地域の医療提供体制は、コロナ医療とそれ以外の通常の医療が両立してこそ機能していると言える。両立できなければ医療崩壊の状態となっていく」と語りました。さらに、必要な時に医療自体が提供、受診できない医療壊滅の状態へと、進行してしまう恐れにも言及しました。
医療崩壊からぬけだすには宿泊療養施設の拡充などと同時に、中川会長は「検査体制を充実させて感染拡大を防ぎ、入院が必要な患者の発生を減らすことが何よりも優先される」と強調。各地域の医師会が取り組む宿泊療養者らの病状チェックの事業や、PCR検査センターの体制拡充を、さらに支援していく考えを示しました。