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2021年1月10日(日)

1950年代に米空軍 沖縄・宮古島に基地建設計画

中国・東南アジアへの核攻撃想定か

 米軍占領下の沖縄で1955年、核使用を含む中国や東南アジアへの攻撃を想定していた米空軍が、宮古島に戦闘機の発着が可能な飛行場を建設するため、2500エーカー(約1000ヘクタール)の土地取得を要求していたことが、国際問題研究者の新原昭治氏が入手した米解禁文書から判明しました。


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 宮古島を含む先島諸島は占領期から現在まで米軍の空白地域ですが、実際は基地建設を狙っていたことが明らかになりました。米中の軍事対立が高まる中、先島の戦略的重要性が高まる現在への警鐘と言えます。

 米軍は50年代、沖縄で本格的な基地建設のため、銃剣とブルドーザーによる私有地の強奪に着手。米下院軍事委員会・沖縄土地問題に関する小委員会(プライス小委員会)が東京の米極東軍司令部で行った聴取記録(55年10月21日付)によれば、沖縄・嘉手納基地を拠点とする第313航空団のヒップス司令官は、「沖縄の核能力を有する戦術空軍は台湾を支援することができる。ここから中国東部を攻撃できる」と証言し、上海を例示。さらに、沖縄の基地は「東南アジアへの迅速な展開のためにも不可欠」だと述べました。インドシナへの軍事介入が念頭にあったとみられます。

 その上で、「(沖縄本島の)多くの飛行場は密接しており、最小限の核兵器で無力化される」として、核攻撃で破壊される危険を指摘。そうした場合の代替基地として、「宮古島への基地建設が助けになるだろう」と述べました。

 ヒップス司令官は宮古島に基地を建設すれば、(1)戦闘機の戦闘半径が拡大する(2)アジアへの攻撃から帰還する戦闘機が悪天候時に着陸できる―などの利点を挙げ、飛行場や「新型兵器」の施設のためとして、2500エーカーの土地を要求しました。

 プライス小委員会は56年6月、米軍にとって「無期限に必要な土地」の永久使用のため、地代の「一括支払い」を勧告。この「プライス勧告」は沖縄県民の「島ぐるみ」のたたかいを引き起こし、現在の「オール沖縄」の源流になりました。こうした状況のもと、宮古島基地は実現できなかったとみられます。

 一方、日本政府が建設した下地島空港(現・宮古島市)をめぐり、71年の「屋良覚書」で「軍事転用しない」と合意されたものの、近年では「緊急着陸」「災害派遣」などの名目で米軍・自衛隊機の利用が目立ち、軍事拠点化の懸念が高まっています。


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