2021年1月9日(土)
「慰安婦」 日本に賠償命令
韓国地裁判決 「反人道的犯罪」
韓国のソウル中央地裁は8日、韓国人の「慰安婦」被害者12人が日本政府を相手に損害賠償を求めていた裁判で、原告側の訴えを全面的に認め、日本政府に1人当たり1億ウォン(約950万円)を賠償するよう命じる判決を言い渡しました。
日本政府は、国家は他国の裁判権に服さないとする「主権免除」を主張し、訴訟が却下されるべきだとの立場から、審理をすべて欠席してきました。これに対し判決は、「被告(日本政府)の不法行為は、計画的、組織的、広範囲にわたる反人道的犯罪行為」であり、国際法規の上位にある奴隷貿易禁止など「強行(絶対)規範に違反したと判断する」として、主権免除は適用されないと述べました。
さらに、日本の統制下で「強制的に1日に数十回、日本の軍人たちの性行為の対象となった。過酷な性行為による傷害、性病、望まない妊娠などの危険を甘受しなければならず、常に暴力にさらされた」と被害を認定。戦後も含め、「原告(被害者)は精神的、肉体的な苦痛に悩まされた」とし、被告側に賠償の義務があり、1億ウォン以上の賠償は妥当だと判断しました。
日本政府は同日、菅義偉首相が首相官邸で記者団に「断じて受け入れることはできない」と述べました。
日本は韓国政府と協議を
田村政策委員長が会見
日本共産党の田村智子政策委員長は8日、国会内での記者会見で、韓国の地裁が元日本軍「慰安婦」の女性が日本政府に求めた損害賠償請求を認める判決を出したことについて問われ、「わが党は国際法に照らして、戦争被害について個人の請求権は認められているという立場だ。戦争被害は、被害当事者がいかに救済されるかが基本であって、『救済されていない』という訴えがあるときに、『問題は解決済みだ』と言ってはねつけることはあってはならない。いかに応えるかという立場で、日本政府は韓国政府とも協議すべきだ」と述べました。