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2020年12月21日(月)

きょうの潮流

 浦島太郎が竜宮城の乙姫からもらって帰った玉手箱。戒めを破って開けると白い煙が立ちのぼり、たちまち白髪の老人になってしまった。幼い頃の記憶にあるおとぎ話です▼各地に残る浦島伝説。なかには、箱を開けると白い綿のようなものがふきだし、太郎が鶴になるという筋書きも。では「リュウグウ」から持ち帰った玉手箱を開けると何が起きるのか? 年をとるのは科学。科学の時計を前に進められます―▼探査機はやぶさ2のチーム責任者、津田雄一さんが5年前にそう答えていました。地球から3億キロのかなたにある小惑星に名を付けたときです。その言葉通り、太陽系や生命、水の起源に迫るヒントが詰まっていました▼カプセルに入っていたたくさんの砂粒やガス。太陽系の化石と呼ばれる小惑星の物質には、宇宙の謎をひもとくロマンが隠されています。さらに異なる地点や地下からの採取をふくめ、今回の快挙がもたらした科学的な価値は計り知れません▼津田さんは著書のなかで語っています。「組織のためや国のためではなく、人類全体の英知に貢献するミッションだから、世界に喜ばれた」(『はやぶさ2 最強ミッションの真実』)。そして子どもたちにこそ、その価値を伝えたいと▼コロナ禍の暗い世相にあって、わくわくするような未知への挑戦。それは胸を躍らせた昔話にも通じます。ウラシマクレーターをはじめ、リュウグウには日本の物語からとった地名がいくつも。世界へ、宇宙へと楽しい未来が広がるように。


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