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2020年12月21日(月)

主張

IR基本方針決定

カジノ固執政権終わらせよう

 菅義偉内閣がIR(カジノを中核とする統合型リゾート)の「基本方針」を決定しました。新型コロナウイルス感染爆発の危機的状況だというのに、カジノにアクセルを踏み込むとは、一体何を考えているのでしょうか。

「スガノカジノ」として

 「基本方針」は、日本のIRの制度設計や最大3カ所とされるカジノ設置地域の選定基準などを定めたものです。首相が本部長を務め、全閣僚で構成するカジノ推進本部が18日開かれ、年末に駆け込むように決定しました。

 もともと政府は、今年1月中をめどに「基本方針」を決定するとしていました。ところが、昨年12月に衆院議員の秋元司元内閣府IR担当副大臣が逮捕されるカジノ汚職事件が発覚しました。世論の批判が沸騰し、予定された「基本方針」決定を見送らざるをえなくなった経緯があります。

 追い打ちをかけたのが新型コロナの世界的な感染拡大です。典型的な「3密」空間に客を詰め込むカジノは閉鎖を余儀なくされました。再開したところも客は戻らず、賭博で高収益を上げるビジネスモデルは崩壊しました。

 カジノ企業は赤字が続くなかで財務状況を悪化させ、世界最大のカジノ企業である米ラスベガス・サンズは5月に日本進出を断念しました。カジノ誘致に躍起になっていた地方自治体も、カジノ企業との交渉ができず、準備が宙に浮く状態になりました。

 安倍晋三前政権の末期は、あらゆる分野で政策の行き詰まりが目を覆うばかりとなり、安倍氏が「日本の成長戦略の目玉」としてすすめた「アベノカジノ」も、先行き不明で漂流していました。

 菅首相は自民党総裁選当時からカジノ推進を公言してきました。首相就任後の10月には、「基本方針」に汚職対応や感染症対策などの文言をアリバイ的に盛り込んだ改定案を示しました。今回これを正式決定することで「スガノカジノ」として、カジノ推進路線に新たな息を吹き込んだのです。

 IRは、国際会議場や展示場、ホテル、エンターテインメント施設など巨大な施設を組み合わせ、そこに呼び込んだ客をカジノに誘導し、カジノの高収益で施設全体を回すというビジネスモデルです。ポストコロナの時代に、カジノが異常なまでの高収益を上げ続けることができるという事業の前提が崩れました。

 カジノ企業は、巨額の投資をする地上型カジノから、インターネット上で仮想的な賭博を開帳するオンラインカジノへ戦略的に事業転換を図っています。巨大な地上型カジノを中心に観光施設を集積するIRは時代遅れです。

 日本共産党や立憲民主党など野党はカジノ法制の廃止を求める法案を共同で提出しました。国会は、世界のカジノ市場がどうなっているのか改めて検証し、国民に開かれた議論でカジノ法廃止にすすむべきです。

総選挙で政権交代を

 「基本方針」決定と合わせて、誘致自治体が国に申請する期間を来年10月からに9カ月間遅らせる政令も閣議決定されました。手続きは、次の総選挙後になります。人の不幸の上に「成長戦略」を求めるカジノ推進政権から、カジノを許さない政権への交代が求められます。


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