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2020年11月25日(水)

流域全体見る治水こそ

熊本・川辺川ダム建設容認

 蒲島郁夫熊本県知事が、川辺川ダム建設を容認しました(19日)。川辺川ダムは1966年に当時の建設省が建設計画を発表。流域住民の長い建設反対の運動のなかで、川辺川利水訴訟が2003年、福岡高裁で劇的逆転勝訴を勝ち取りました。国は上告を断念し、建設中止になった経過があります。

 建設容認の立場を明確にした蒲島知事は川辺川ダムの白紙撤回を明言した当事者であり、“変節”した理由を県民に説明する責任があります。

 ダム建設断念後、「ダムによらない治水を検討する場」が発足。その結論が出ないまま、出口が見えない状態を放置してきた国と県の責任も重大です。

 近年の一連の災害で専門家からは「ダムの限界論」も出ています。18年7月の西日本豪雨に伴い愛媛県で発生した肘川洪水ではダムを緊急放流し、9人の犠牲者を出しました。今年7月の熊本県・球磨川洪水でも市房ダムが緊急放流まであと10センチに迫りました。ダムは緊急放流という“牙”を持っています。

 ダムによる洪水調節には一定の限界があり、河道による洪水処理計画の補助的な役割を担っているにすぎません。

 水害対策の基本は河川流域を一体として把握し、長期的な視野にたつことです。山林がほとんど占める水源対策、中下流の沖積平野に広大に展開する都市、そして河口周辺の海洋にいたるまで流域全体を視野にいれた治水対策こそ必要です。

 7月には国土交通省の社会資本整備審議会河川分科会の委員会で「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な流域治水への転換」が取りまとめられました。

 ダムは川の「物質循環」を遮断し、自然破壊をもたらします。山の保水力の整備、堤防の補強、遊水地の活用など総合的な流域の治水対策こそ急ぐべきです。(日本共産党国民運動委員会 高瀬康正)


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