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2020年11月23日(月)

学術会議に10億円と攻撃するが

菅氏 機密費から毎年11億円超

「閉鎖的で既得権益」なのは いったいどちらか

 菅義偉首相が官房長官時代に受け取った内閣官房機密費(報償費)のうち、領収証不要の“つかみ金”である「政策推進費」が年間11億円超だったことが22日、本紙が入手した資料でわかりました。日本学術会議の会員候補6人の任命拒否で、菅首相は「(日本学術会議は)年間約10億円を使っている。国民に理解される存在でなければ」と攻撃していますが、菅氏にその資格があるのでしょうか。(矢野昌弘)


表

 菅氏は2012年12月から今年9月半ばまでの7年10カ月にわたり、官房長官でした。

 本紙は情報公開で今年半ばまでの官房機密費の使途文書を入手。その結果、13年度からの7年間分で総額86億1100万円余の官房機密費を使っていました。

領収書不要“つかみ金”

 官房機密費は、会計検査院にも領収書や支払先を明らかにする必要がない“ヤミ金”です。その中でも最も深いヤミの金が「政策推進費」と呼ばれる費用です。

 菅氏自身が管理し、菅氏に渡した時点で“支出完了”となります。領収証は不要で、何に使ったのか、知っているのは菅氏のみです。

 政策推進費は7年間で総額78億円、年平均11億1400万円余となっています。官房機密費全体の90・5%は、菅氏に渡った“使途不明金”だったことになります。

 一方、菅氏が“問題視”する日本学術会議の予算は、平均で年間9億9300万円余となっています。菅氏が1人で使った政策推進費より毎年1億2100万円も少なく、13年度からの7年ともすべて政策推進費より少ない予算で運営されてきました。官房機密費と違い、使途は当然、公開されています。

見直しへの提案を黙殺

 また菅首相は日本学術会議が「閉鎖的で既得権益のようになっているのではないか」とも、国会で攻撃しています。

 官房機密費をめぐっては、市民団体が情報公開を求めた訴訟で2018年、最高裁が使途文書の一部開示を命じました。

 その際、原告と弁護団は菅氏に抜本的な見直しを求める文書を送りました。そこでは、(1)政治家・公務員・マスコミ・評論家に支出しないこと(2)「秘匿性の程度」に応じて使途を非公開にする期間を決め、その期間が経過すれば公開することなどを提案しています。

 菅氏は、この提案を一顧だにせず、従来通りにブラックボックスに入った多額の官房機密費を使っています。「閉鎖的で既得権益のようになっている」と批判されるべきは、菅首相自身。国民に「自助、共助」という前にわが身をふりかえってみてはどうでしょうか。


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