2020年11月22日(日)
「生活回復せず」福島6割
災害住宅入居の被災者実態調査
復興支援フォーラム報告
第172回「ふくしま復興支援フォーラム」が19日夜、オンラインで行われました。東日本大震災の被災地、岩手、宮城、福島3県で災害(復興)公営住宅に入居する被災者の生活実態についての調査結果を、福島大学准教授の西田奈保子さんが報告。福島では6割近くが生活は回復していないと回答しました。
調査は岩手県立大学と福島大学、関西大学、尚絅(しょうけい)学院大学の研究者が、共同で2019年11月中旬から1カ月間取り組みました。アンケート用紙を各県の災害公営住宅6454世帯のポストに投函(とうかん)。郵送で2369世帯から回答を得ました。福島県分は原発事故による避難者の公営住宅に絞って調査しています。
回答者は50代以下が約23%で、60代以上が約77%。「高齢」「無職」の世帯が多く、年収200万円以下が6割以上です。中でも福島では「無職」世帯が7割以上に及びます。
生活の回復の程度についての問いでは、岩手、宮城両県は「あまり回復していない」「まったく回復していない」の合計が約3割。福島では6割近くになっています。
団地での生活について聞いたところ、震災前より近所付き合いが「少し減った」「かなり減った」という人の3県全体では6割。福島だけで見ると7割でした。
西田さんはアンケートの結果を受けて「福島の場合、原発事故による広域分散避難が、生活の回復感や近隣の関係の形成に、かなり影響していると考えられる」と分析しました。