2020年11月17日(火)
雨域の正確な把握を
「黒い雨」検討会 被団協代表ら訴え
広島への原爆投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」の被害に関し、援護対象区域の検証を行う厚生労働省の第1回検討会が16日、東京都内で開かれました。
「黒い雨」の被害をめぐる訴訟で広島地裁判決(7月)は、住民ら84人全員を被爆者と認めましたが、国は広島県・市とともに広島高裁に控訴。同時に援護対象区域の拡大を視野に再検討を表明したことを受けて検討会が設置されました。
メンバーは木戸季市(すえいち)・日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局長、援護対象区域より広範囲で「黒い雨」が降ったとの調査結果(増田雨域)を発表した増田善信・元気象庁気象研究所研究室長のほか医学、工学、法学関係者ら11人。座長は佐々木康人・湘南鎌倉総合病院付属臨床研究センター放射線治療研究センター長。
会合で木戸氏は、長崎で5歳のときに被爆した体験を語り、「原爆被害の全体に対して補償することを前提とした施策でなければ問題はずっと解決できない」と訴えました。
増田氏は、原爆被害を考えるうえで内部被ばくの問題が重要だとのべ、「『黒い雨』や微量物質が飛んで行った地域の正確な分布を出すのが決定的だ」と強調しました。
検討会では、当時の気象シミュレーション、土壌調査、カルテ調査など五つの作業部会を設け、原爆由来の放射性物質の確認と健康被害が生じているかの確認を進めることを決めました。