2020年11月11日(水)
核保有国は禁止条約参加を
世界の科学者呼びかけ
核兵器保有国の米英仏ロなど世界の科学者35人が9日、オンライン記者会見を行い、核兵器保有国の指導者に核兵器禁止条約への参加を求める世界科学者アピールを発表しました。
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アピールは「気候と核の大惨事」が「人類を脅かす二つの危険」だとし、特に核兵器の大惨事は誤報や事故で突発的に起こり得ると警告。米国、ロシア、中国、イスラエルが核軍拡競争を再燃させていると批判しています。
また、気候変動への対応に必要な「膨大な金銭的、産業的、科学的資産は存在する」が、それは「とりわけ核軍拡競争や宇宙の軍事化」に支出されてしまっていると指摘。「私たち科学者は、未来への責任を自覚し、すべての核兵器保有国ならびに核兵器受け入れ国に核兵器禁止条約を批准し、気候変動とのたたかいに資産を向けるように呼び掛ける」としています。
このアピールは世界の科学者の反核平和団体であるパグウォッシュ会議(1995年のノーベル平和賞受賞)のフランス支部とフランス平和運動(2017年のノーベル賞受賞団体であるICANの参加組織)の提唱に基づき、核兵器禁止条約の来年1月22日発効が決まった10月24日に作成され、国連の「平和と開発のための世界科学デー」(11月10日)に合わせて発表されました。
17年にノーベル化学賞を受賞したスイスのジャック・デュボシェ氏(ローザンヌ大学名誉教授)は記者会見で、「良い狩人は一兎(いっと)を追うべき(二兎を追うものは一兎をも得ず)だと言うが、今はことわざにかまわず、ウイルス対策、反核平和、環境という三兎を追う必要がある」と述べ、「三つのたたかい」への協力を呼び掛けました。
日本からのアピールの呼びかけ人は以下の通り(50音順、敬称略)。
▼稲垣知宏(日本パグウォッシュ会議代表、広島大学教授)▼栗田禎子(日本学術会議会員、千葉大学教授)▼小沼通二(慶応大学名誉教授)▼沢田昭二(原水協代表理事、名古屋大学名誉教授)▼鈴木達治郎(日本パグウォッシュ会議会長代行、長崎大学教授)▼田中煕巳(被団協代表委員、磁性体物理学者)▼松田正久(同朋大学学長)