2020年10月31日(土)
リニア工事差し止め提訴
静岡県内区間 住民ら「水利権侵害」
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JR東海に対し、リニア中央新幹線の静岡県内区間の工事差し止めを求める訴訟が30日、静岡地裁に起こされました。訴えたのは、大井川流域の住民ら107人。
住民らは、リニア新幹線の南アルプス・トンネル工事によって、大井川の流量が減少し、流域住民の水道水源や、農業、産業へ影響が出て、水利権が侵害されると訴えています。さらに、大井川上流部の断層で大量湧水が発生し、地下水が300メートル以上低下するなど、水環境の破壊による生態系の崩壊が生じることは必至で、人類にとって極めて大きな損失になるとしています。
原告・弁護団は提訴後、静岡市内で記者会見し、西ケ谷知成弁護士が「大井川流域の水源確保と、南アルプスの環境保全という二本柱の裁判。一度破壊された環境は元に戻らない。環境破壊に『待った』をかけるものになる」と強調しました。原告の農家の男性は「水なしでは農業はできない」、牧之原市の男性は「市に独自の水源がなく、大井川からの水に頼っている」と語り、大井川の流量減少は死活的問題だと訴えました。
リニア中央新幹線をめぐっては、7都県全線にわたる実施計画の認可取り消し請求訴訟や、山梨県内区間の工事差し止め訴訟、東京都内での大深度地下認可取り消しを求める審査請求などが行われています。