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2020年10月31日(土)

主張

衆参代表質問

答弁不能で居直る首相許せぬ

 菅義偉首相への各党代表質問が衆参の本会議で行われました。日本共産党の志位和夫委員長(衆院)と小池晃書記局長(参院)は、国政の重大焦点である日本学術会議への人事介入を中心に首相の認識をただしました。学術会議の会員6人の任命拒否は、法治主義の破壊であり、国民の基本的人権を侵害する前代未聞の暴挙です。志位氏らは任命拒否の違憲・違法性を条文などに基づき徹底的に明らかにしました。しかし、首相は従来と同じ答弁を繰り返すばかりで、まともに答えません。答弁不能に陥っても、任命拒否の撤回に応じない首相の姿勢は全く不当です。

違憲・違法いよいよ明白

 任命拒否は日本学術会議法に真っ向から違反します。志位氏は具体的に条文を挙げ、学術会議の政府からの独立性が同法全体で幾重にも保障され、実質的な人事権も全面的に学術会議にあることを示しました。首相が人事介入できる余地がないのは明白です。

 憲法15条1項の公務員選定・罷免権を根拠にした菅首相の「任命拒否合理化論」も成り立ちません。同項は、公務員の最終的な選定・罷免権が主権者・国民にあると規定したものです。それを個別の法律で具体化するのは国民を代表する国会であり、学術会議会員の選定・罷免権は学術会議法で定められています。その法律に違反した首相の任命拒否こそが15条違反です。同条を持ち出し任命拒否を正当化することは「天につばするもの」(志位氏)です。

 「一部の大学に偏っている」「多様性が大事」などと言うのも拒否理由になりません。ではなぜ50代前半の研究者や、その大学から1人だけの研究者らを排除したのか。首相が勝手に選考・推薦の基準をつくり、人事介入することは、それこそ学術会議の独立性の破壊です。だいたい学術会議が推薦した名簿を「見ていない」と言うなら、どうして「偏っている」などの特徴が分かるのか。語れば語るほど首相の答えは支離滅裂です。

 首相は学問の自由を理解しているのか―。学問の自由は、個々の科学者だけでなく大学や学会など科学者の自律的集団に保障される必要があり、その独立・自主性の保障なくして科学者の自由な研究もありません。理由を示さぬ任命拒否が、個々の科学者に萎縮をもたらし、学術会議の独立性を保障する要の人事権を侵害したのは明らかです。「首相の任命拒否は学問の自由を二重に侵害するものではないか」。志位氏の質問に首相は正面から答えず「侵害とは考えていない」と言い張るだけでした。

 憲法に学問の自由が明記されたのは、学問が弾圧され、科学者が戦争に動員された戦前の痛苦の反省の上にたったものです。歴史の教訓に学ばず、強権で異論を排斥する政治に未来はありません。

民意に反する政権倒そう

 再燃が懸念される新型コロナの対策で、志位氏と小池氏が検査・医療の強化や暮らしを支える施策を具体的に提案しても、首相は踏み込んだ答弁を一切しません。

 小池氏が来年1月発効の核兵器禁止条約に背を向ける姿勢を改めよと迫っても、首相は条約の署名・批准に応じません。戦争被爆国の首相にあるまじき態度です。

 国民の願いにことごとく反する菅政権を打倒し、野党連合政権を実現することが求められます。


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