2020年10月28日(水)
福島第1汚染水「2年後満杯」いうが…
2年近く延長可
タンク増設「真剣に検討を」の声
東京電力福島第1原発事故の汚染水問題をめぐって、東電の現行タンク計画によると約2年後に満杯になると推定されていますが、解体するタンク跡地にタンクを増設すれば、さらに2年近い規模の余裕が確保できることが分かりました。政府・東電は現時点で、この敷地にタンクを増設する予定はないとしていますが、「真剣に議論すべきだ」という声があがっています。
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タンクには現在、高濃度汚染水を処理した後に残るトリチウム(3重水素)汚染水が約123万トンたまっており、現行タンク計画(約137万トン)では2022年秋ごろに満杯になると東電は説明しています。政府は、薄めて海に流すなどの処分方法を検討中ですが、方針決定から処分開始まで約2年かかるとされ、政府は時間的制約を理由に早期決定に向けて前のめりの姿勢を示しています。
東電によると、漏えいしやすい「フランジ型」のタンク97基を解体した後、このスペースを利用すれば同じ容量(汚染水9万7000トン分)のタンク増設が可能です。汚染水の増加のペースを1日150トンと仮定すると、1年9カ月程度の余裕が生まれる計算です。
ただ東電は、核燃料デブリの関連施設や使用済み核燃料の一時保管施設なども廃炉を進めるために必要で「総合的に勘案していく必要がある」として、解体タンクの跡地利用は現時点で未定と説明。一方、経産省は「廃炉作業に影響を与えずに増設する余地はきわめて限定的だという状況は変わっていない。そのスペースにタンクをつくることにはならない」としています。