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2020年10月28日(水)

「高齢者福祉乗車券」 賛同2万人超 北九州市

坂の街 「足」ほしい

 高台など交通が不便な地域に多くの市民が暮らす北九州市で、鉄道、バス、モノレール、タクシーにも使える高齢者福祉乗車券の実施を求める声が上がっています。「平和とくらしを守る北九州市民の会」が取り組む請願署名には2万人を超える賛同が寄せられ、来年1月の市議選の争点の一つに浮上しています。(福岡県・田中正一郎)


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(写真)市の担当者に署名を手渡す市民の会の三輪俊和事務局長(右)=9月24日、北九州市

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九州の玄関口に位置し、北九州工業地帯の中心。1963年に5市が合併して政令指定都市に。福岡市に次ぐ県内第2の都市。人口約94万人。高齢者人口の割合は約30%で政令指定都市で最も高い。

 「バス停は坂の一番下。野菜や日用品を持って上がるのがすごく大変です」。門司区に住む男性(86)の家は、バス停から徒歩で350メートル。道にボールを転がすと止まらないほどの傾斜地です。住んで40年以上になりますが、最近は坂を上り下りする住民がめっきり減りました。「若い人は戻ってこず、高齢者ばかりになった。乗車券があれば相当助かる」と言います。

 市では製造大企業が平野部に大工場を展開する一方、住宅地は高台地域の傾斜地で開発が行われてきました。バス路線の撤退などで、現在、市民の約2割が公共交通空白地域(バス停まで300メートル以上など)に住んでいます。市はコミュニティーバスや乗り合いタクシーからなる「おでかけ交通」を実施していますが、路線範囲や経営支援は不十分で利用者は半減。市社協のボランティア活動「シルバーひまわりサービス」は利用回数に限りがあります。

 門司(もじ)区に住む女性(85)は「社協(社会福祉協議会)のひまわり号は利用者が多くて月2回しか利用できません。あとはタクシーを呼ぶしかなく、生活費に困ります」と歯医者や買い物も最小限にとどめています。「膝が悪く、バスのステップも上がれない。体の不自由な住民のために少しでも助けになればと署名しました」

 「市民の会」は2月に署名を開始。市内では3月以降、新型コロナウイルスの感染者が相次いで見つかり、街頭や対面での活動が厳しく制限されるなか、各区の区民の会は返信用封筒をつけた署名用紙の配布などで大きく賛同を拡大。9月議会に2万1933人分の請願署名を提出しました。

 八幡(やはた)西区で署名活動をした男性(71)は、「帰ってきた署名用紙の約3分の1に、家族ではない名前が書かれていた。住民が自発的に周囲に署名を広げていて、今までにない手ごたえがあった」と話します。高台地域以外でもバス減便や路線変更で公共交通が減り、高齢化により免許返納が進むなか、全市的な要望になっていると実感しました。「本当に喜ばれ、共感が得られる活動ができた。北橋健治市長は実施にいまだ否定的だが、市議選を通じて立場を超えた多くの市民と議員を巻き込んだ運動にし、実施を実現したい」と語りました。

住民の移動は権利 党市議団

 日本共産党市議団は高齢者福祉乗車券の実施を繰り返し市議会で求めてきました。福岡市では年16億円の予算で実施。市議選では、3500億円の下関北九州道路など大型開発推進の予算の使い方を変えるだけで実現可能と訴えます。

 山内涼成党市議は、「高齢者の生活交通をどう守るのか。山坂からまっすぐ降ろす既存の『おでかけ交通』のような『線』だけでなく、支線の充実など『面』の視点が欠かせない。タクシーにも使える乗車券は家の前から目的地まで運ぶ『ドアからドアへ』の実現でさらに利便性が上がる。住民の移動の権利を保障できるよう全力をあげたい」と話しました。

来年1月市議選 共産党10氏 全員勝利を

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(写真)来年1月の北九州市議選に日本共産党から立候補する(前列左から)藤元、藤沢、高橋(後列左から)荒川、伊藤、永井、山内、宇土、出口、大石の各氏

 来年1月の北九州市議選では、コロナ危機から命と暮らしを守ることや、3500億円の「下関北九州道路」推進など無駄な大型開発を進める市政・市議会でいいのかが問われています。国政のゆがみが市政や市民の生活に影を落とすなか日本共産党は、総選挙と市議選を一体に政権交代と新しい政治の流れを北九州からつくろうと訴えています。

 党県委員会が21日に発表した「市民へのアピール」では、新自由主義・行革路線とたたかってきた日本共産党を伸ばしてほしいと呼びかけています。五つの重点公約として(1)コロナ危機から命と暮らしを守る(2)高齢者福祉乗車券の実施(3)18歳までの医療費完全無料化・学校給食無償化(4)市内就職者の奨学金返済支援の復活・拡充(5)賃上げと家計応援で人口減に歯止め―を掲げています。

 アピール発表の記者会見で内田裕・党県委員長は菅政権の自己責任論を批判。選挙を通じ市政・国政で新自由主義を打ち破ると述べ、現有8人から「10人全員勝利で北九州から政権交代の波を起こしていく」と語りました。

■立候補する日本共産党の10氏(敬称略)

▽門司区(定数6) 高橋都(67)=現

▽小倉北区(定数11) 出口成信(60)=現、大石正信(62)=前

▽小倉南区(定数12) 藤沢加代(71)=現、宇土浩一郎(47)=新

▽八幡東区(定数4) 藤元聡美(51)=現

▽八幡西区(定数15) 伊藤淳一(69)=新、永井佑(30)=新

▽戸畑区(定数4) 荒川徹(67)=現

▽若松区(定数5) 山内涼成(55)=現


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