2020年10月27日(火)
なくすな大阪市
市分割 コスト218億円増
財源不足 サービス後退も
市財政局が試算
大阪市を四つの自治体に分割した場合に、行政サービスを実施するために毎年かかるコストが、現在より218億円増えることが市財政局の試算により明らかになりました。大阪市を廃止し、四つの特別区に分割する「大阪都」構想の是非を判断する上で重要な指標になります。
財政局の試算は、大阪市の人口を4等分した条件で、行政サービスの運営に必要となる「基準財政需要額」を算出したもの。大阪市の20年度の基準財政需要額6940億円に対して、人口を4等分して約67万人にした場合の需要額が218億円多い7158億円になるとの試算を示しました。財政局の担当者は「あくまで機械的に出したものだが、(『都』構想を判断する上で)一つの目安になると思う」と説明しています。
一般的に人口規模が大きい自治体にはスケールメリットが働き、人口が多いほど需要額が抑えられるとされています。「都」構想は、人口269万人の大阪市を廃止し、人口60~75万人の四つの特別区に分割する制度です。今回の財政局の試算同様に、スケールメリットが失われ、行政コストが増加することが自民党の試算でも指摘されていました。
これまで、特別区になった場合の地方交付税の不足額については、自民党議員から繰り返し試算を求める要求がありましたが、松井一郎市長は拒否を続けてきました。住民投票(11月1日投票)が激戦の様相となっているこの間は、200億円ぐらいという自民党の試算について“デマ”だとする批判を討論会や街頭演説で展開しています。
住民投票では、住民サービスの切り捨てが争点の一つとなっています。年間218億円の財源不足では住民サービスの維持どころか、後退も避けられません。