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2020年9月22日(火)

主張

コロナ禍の大学

安心の学びへ国は財政措置を

 全国の大学で9月後半から後期授業が開講します。新型コロナウイルスの影響で、4月からの前期は、多くの大学が対面授業を中止し、オンライン授業が中心になりました。後期も、8割の大学が対面授業を実験や実技、ゼミなどの一部で再開するものの、それと併用してオンラインを継続します(15日発表の文部科学省調査)。学内施設の利用を制限する大学も7割にのぼり、普段の学生生活の再開には程遠い状況です。

感染防止策への支援こそ

 「一日中パソコンと向き合う生活に気がめいる」「Zoomでしか見たことのない友だちに会ってみたい」「いつまで我慢すればいいのか」。経済活動がほぼ再開されている中、大学での活動が制限され続けていることに、学生は不安や不満を募らせています。周囲とのつながりが薄くなり、「4割が『孤独感』」(九州大)「1割超にうつ症状」(秋田大)など放置できない実態もあります。とくに1年生は「受験以来、1回も大学に行っていない」「友人が1人もいない」などひときわ深刻です。大学での対面授業と交流が待たれています。

 同時に、少なくない学生や教職員は、制限解除を望みつつも感染への不安を抱いています。日本私大教連は、「感染者が面接授業に出席していたために施設を臨時閉鎖した大学も複数出ている」などの現状を踏まえ「感染リスクを最低限低減するための」対策への予算措置を国に求めています。対面授業の再開には感染症対策の徹底が不可欠です。

 文科省は、対面授業の再開を大学に促しています。ところが、肝心の感染症対策に対する国からの財政措置はほとんどありません。国立大向けにトイレ改修等のための環境改善衛生費46億円が計上されただけで(1次補正予算)、私立大向けの財政支援はゼロです。

 文科省は、パーティション設置など大学が講じる対策を“好ましい事例”と紹介し、運営費交付金や私学助成金の前倒し支給で大学を支援するといいますが、新たな出費を補てんするものではありません。大学の感染症対策に対し、国からの財政支援を抜本的に増やすことが必要です。

 学生の生活困窮も深刻です。頼みの綱であるアルバイトはもとに戻らず、食事もままならない学生が多くいます。民青同盟などが各地で取り組む食料支援活動には、「モヤシと豆腐で2週間乗り切った」「2、3日飯抜きは普通」と窮状を訴える学生が列をつくります。国の学生支援緊急給付金等は要件が厳しく、大学生協連の調査では、ほとんどの学生が受給できていません。オンライン授業が後期も継続されることには、「学費を満額払うことは納得できない」との声も強まっています。

急がれる学費の半額免除

 日本共産党国会議員団は文科省に対し、「大学での対面授業の実施拡大と学生生活の支援に関する緊急申し入れ」を行いました。

 各大学は、対面授業の再開に向け、PCR等検査や換気設備の設置、教室改修などの感染症対策を実施しつつあり、国の財政支援は急務です。また、学生が勉学を諦めることのないよう、緊急給付金の抜本拡充が求められます。授業料の一律半額免除に踏みだし、安心して学べる環境づくりに国が責任を果たすべきです。


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