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2020年9月21日(月)

大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点(1)

今やるべきはコロナ対策

 大阪市廃止=「都」構想の是非を問う住民投票が、10月12日告示、11月1日投票で行われようとしています。その焦点をみます。


 住民投票が11月1日に実施されることが決まったとき、市民の中からは「なぜ新型コロナのこんな時に?」と声が出ました。松井一郎大阪市長は「目の前で、人がばたばた倒れているような状況で、医療崩壊がわかっている」状況にならなければ強行する姿勢を示しています。

 しかし、新規陽性者数が減少したとはいえ、コロナによる打撃でくらしや営業が壊された人は多くいます。収入減で厳しい経営に追い込まれた医療、介護や中小企業の人々は立て直しに追われています。

専門家から批判

 今、やるべきは、市民への支援と、「どたばた倒れ」ないようにする、そして「医療崩壊を起こさせない」ための対策です。無症状感染者を含めて把握・保護し、感染拡大を抑え込むためのPCR検査体制です。医療・介護・障がい福祉・保育・教育などの従事者への社会的検査の実施です。検査結果報告まで1~2日かかっているのを改善し、保護・隔離までの時間を短くする体制です。感染拡大防止と社会経済活動を維持するための対策です。

 維新は「府市一体、『バーチャル大阪都』でうまくやっている」とうそぶきます。しかし、実態はどうでしょう。「誰でも いつでも 何度でも」検査が受けられる体制を目指す「世田谷モデル」を、吉村知事は「必要ない」と切って捨てています。「うそみたいな本当の話。コロナに打ち勝てるかも」と、うがい薬を推奨した「イソジン発言」や「大阪は人工呼吸器を早めにつけている」などの科学的根拠のない発言には専門家から強い批判が出されています。

 大阪市は、全国各地で実施されたコロナの患者を受け入れた病院への支援や中小企業への無利子、信用保証料ゼロなどの独自のコロナ対策をしていません。

 「特別区になれば保健所も四つになる」と言いますが、その気になればすぐに増やせるもの。2025年まで一つも増やさないつもりでしょうか。

役割を投げ捨て

 こうした遅れの背景には、「二重行政の解消」を叫び、住吉市民病院廃止を強行、医療・公衆衛生分野の切り捨てをすすめてきたこと、「何でも民営化」で「公」の役割を投げ捨ててきたこと、「1人の指揮官」による独断の横行など、「維新政治」と「都構想」による間違った政治姿勢があります。前維新代表の橋下徹氏(元大阪府知事、元大阪市長)はツイッターで「現場を疲弊させている」と「反省」を口にしています。

 今、求められているのは、こうした姿勢を転換し、インフルエンザとコロナ両方の感染症が懸念される秋冬に向けた万全の体制整備と、くらし・経営の支援に全力を尽くすことです。住民投票ではありません。(つづく)

●「社会経済活動を維持しながら、感染防止に努めるためにも、検査体制の拡充が不可欠」(茂松茂人・大阪府医師会長あいさつ、大阪府医師会ホームページ)

●「今の大阪府・市は新型コロナウイルス感染対策より大阪市解体の『住民投票』優先」「(今やるべきことは)PCR検査や発熱外来などの実施体制の構築、そして費用も人的補償も不十分な保健行政の改善である」(大阪府保険医協会評議員会決議、9月5日)


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