2020年9月19日(土)
強制労働の事実 展示を
市民団体、政府に要望書
世界文化遺産の展示施設に抗議
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世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」を紹介する「産業遺産情報センター」(東京都新宿区)の展示などについて、戦時中の朝鮮人への強制労働を否定する内容であることに抗議し改善を求める市民団体「強制動員真相究明ネットワーク」は18日、参院議員会館で記者会見を開きました。
同センターは6月15日に一般公開しました。2015年の世界文化遺産登録にあたり日本政府は、製鉄所や炭鉱などで「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者」がいたことや、第2次世界大戦で日本政府として徴用政策を実施していたことについて「理解できる措置を講ずる」としていました。同ネットによると、同センターでは強制労働などを否定する展示やガイドが行われています。同ネットは、各地での強制労働の事実を認めることや、被害者の証言・記録を収集し「全体の歴史」を展示することなどを求めた要望書を政府に出しました。
政府が期限までに回答しなかったので、同ネットは8月下旬から9月上旬にかけ、内閣官房の「産業遺産の世界遺産登録推進室」に電話で問い合わせました。推進室の担当者は「文書で回答する予定はない」「コンセプトとして徴用について理解できる展示をしている」などと述べたと言います。
中村光信事務局長は「産業発展の影に強制動員被害者を含め多くの犠牲があったことを後世に伝えることが、世界遺産としていくためには不可欠だ」と話しました。