2020年8月29日(土)
主張
安倍首相辞意表明
速やかに臨時国会を開催せよ
安倍晋三首相が持病の悪化を理由に辞任を表明しました。首相は直前まで新型コロナウイルス対策の政府本部会議に出席しており、突然の辞意に驚きの声が日本中に広がりました。治療に専念し、健康を回復されることを願います。
コロナ感染拡大で国民が重大な危機に直面している時に、国政に一刻の停滞もあってはなりません。速やかに臨時国会を開き、コロナ対策などの重要課題の議論を行うことが必要です。
コロナ対策の議論急務
安倍首相にとっては2007年の第1次政権に続き、2度目の任期途中の辞任となります。
安倍首相が政権に復帰したのは12年12月でした。24日には首相連続在職日数の歴代最長を更新していました。その一方で、安倍政権のコロナ対応は「アベノマスク」や「Go To トラベル」をめぐる迷走と混迷、後手後手の連続で、PCR検査のあまりの少なさをはじめ国民の批判と不信の声が渦巻いていました。内閣支持率も落ち込んでいました。
コロナ感染拡大が続く中での辞任理由について、安倍首相は、自身の健康が国民の負託にこたえられる状態でないと述べました。記者会見の冒頭で、首相は新たなコロナ対策を公表しました。その中身は検査や医療のあり方をはじめコロナ対策の根幹に関わる重要な政策であり、国会での検証と議論が急がれるものばかりです。国民の健康と命、暮らしと営業を守るために力を尽くす政治の役割が一層重要となっています。
安倍政権が幕を引くのにあたって、改めて問われてくるのは7年8カ月にわたる「安倍政治」です。14年に歴代政権の憲法解釈を強引に変更し、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を行い、15年には安保法制=戦争法を成立させました。17年には憲法9条に自衛隊を書き込む明文改憲案を打ち出し、任期中の改憲に強い執念を示しましたが、それは国民のたたかいによって実現できませんでした。辞任表明の会見で、安倍首相は、改憲への国民世論が広がらなかったと認めざるをえませんでした。首相は後継政権下での改憲に期待を示しましたが、9条改憲を許さない国民の声に背を向けることは許されません。
「森友」「加計」「桜を見る会」疑惑をはじめとする「国政私物化」や行政文書の改ざん・隠ぺいについても世論の厳しい批判にさらされました。辞任表明会見で記者から問われた首相は「私物化したつもりは全くない」と表明しましたが、一連の疑惑をあいまいにすることはできません。
首相が売り物にした経済政策「アベノミクス」は貧困と格差を広げ、2度にわたる消費税増税は経済に深刻な打撃を与えました。コロナ感染が追い打ちをかけている日本経済の苦境から抜け出す政策転換は極めて切実な課題になっています。
新しい政治への転換こそ
首相の辞任によって、日本の政治に新しい激動的な時代が始まったことは間違いありません。
国民が痛切に求めているのは、自民党政治を大本から切り替える、新しい政治です。コロナ禍から国民を守るためにさらに力を尽くすとともに、安倍政権と対決するたたかいで発展した市民と野党の共闘を大きく前進させ、日本の未来を切り開くことが急務です。