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2020年8月23日(日)

「核のごみ」最終処分場 文献調査応募やめよ

北海道 畠山氏、寿都町長に要請

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(写真)片岡町長(左)に要請する畠山氏(右)と幸坂町議=21日、北海道寿都町

 町長が突然、原発から出る「核のごみ」受け入れの第1段階の「文献調査」に応募する、と表明(12日)した北海道寿都町(すっつちょう、人口2900人)。日本海に面し、漁業と水産加工が基幹産業です。降ってわいたような片岡春雄町長の発言に、近隣の自治体首長や漁業関係者が猛反発。鈴木直道知事も「受け入れがたい」と表明する事態になっています。

 日本共産党の畠山和也前衆院議員は21日、直ちに現地に駆けつけ、「文献調査」に応募しないよう町長に“直談判”し、「この問題で町民を分断することがあってはなりません」と再考を強く求めました。

 幸坂(こうさか)順子町議から、党道委員会と小樽地区委員会連名の要請書を受け取った片岡町長。「日本海側の水産業の町はどこも財政難。先手を打った」と述べ、文献調査に伴う交付金20億円がほしいとの意図をあからさまに語りました。

地図:北海道寿都町

 北海道電力が再稼働を狙う泊原発(泊村)については「1、2号機は廃炉。しかし、3号機を動かして電気料金を下げた方がいい」「国は(核のごみ問題を)先送りしている。どこかの地域で(最終処分場建設を)受けなければならない」といい、文献調査にとどまらず、泊原発の放射性廃棄物受け入れを念頭に置いていることを示唆した発言をしました。

 「町長の提起は“劇薬”です」と反論した畠山氏。「財政難にコロナ禍が重なり、市町村は大変です。政府が自治体の自主性と財源を保障すべきで、町内を二分しないように」と求めました。

核ごみ処分場 ありえぬ

漁協・周辺首長ら猛反対

 テレビや新聞に登場し、当初は「文献調査」への応募だけといっていたのが、「(第2段階の)『概要調査』(最大70億円)を行わないと意味がない」(北海道新聞21日付)と前のめりになる片岡町長。「私の判断で進める」との強引な姿勢は、町内だけでなく周辺自治体とのあつれきを生み、「反対」を求める抗議の声が急速に広がっています。

畠山氏が懇談

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(写真)濱野会長(右)と懇談する畠山氏(左)ら=21日、北海道島牧村

 21日、片岡町長への要請と前後して、漁業関係者や隣接3町村首長と相次いで懇談した畠山氏。

 寿都を含む周辺9漁協でつくる「小樽地区漁業協同組合長会」の濱野勝男会長(島牧漁協組合長)は「全道漁業に与える影響は計り知れない。断固反対」とする緊急抗議文を片岡町長に提出したと紹介。「福島第1原発事故以降、韓国が北海道を含む日本からの水産物輸入制限措置を続けているなど影響は収まっていない。水産業が基幹産業の町で最終処分場などありえない」と語気を強めました。

 「13日のマスコミ報道まで全く情報がなかった」と口をそろえる蘭越町(らんこしちょう)の金秀行町長と黒松内町(くろまつないちょう)の鎌田満町長。島牧村(しままきむら)の藤澤克村長はあからさまに不信感を募らせました。

 畠山氏に「近隣住民も不安に思っている。(片岡町長が表明している)9月判断は拙速だ」(金町長)「一自治体で完結する問題でない。近隣に説明なく、賛成・反対以前の問題だ」(藤沢村長)と厳しく指摘します。

 鎌田町長は、寿都町まで伸びている活断層「黒松内低地帯」にふれ、「将来世代に不安を残してはいけない」と警告しました。

 畠山氏は「活断層や活火山のごく近くしか『不適地』としていない国とNUMO(原子力発電環境整備機構)の最終処分場選定『科学的適地マップ』の妥当性が問われます。一自治体の判断で、文献調査に進める制度は見直さなければなりません」と原発推進・再稼働に固執する国にほこ先を向けました。

 寿都町と同じ後志(しりべし)管内の「羊蹄(ようてい)山麓7町村長会議」は21日、会議を開き、「応募反対」で一致。近く、慎重な対応を求めるとしています。

 鈴木直道知事は21日の記者会見で、「核のごみ」を「受け入れがたい」とする道条例を守るよう要請。知事判断が求められる「概要調査」では「反対意見を述べる」と明らかにしました。

世論を大きく

 共産党小樽地区委員会は同日夜、「寿都町・核のごみ問題」会議を開き、近隣から地方議員や党員が集まりました。幸坂順子町議が「町長は、町民の声は聞くといっている。署名、宣伝、ビラで反対世論を大きくしていきたい」と表明します。

 畠山氏は「国はゆきづまった原発政策の後始末を、地方に負わせてなりません。“核のごみは国の責任で厳重管理を”という共産党の立場を大いに語り、故郷守れの声を広げていきましょう」と呼びかけました。

 (小田一郎・日本共産党国会議員団北海道事務所事務局長)


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