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2020年8月19日(水)

条件付き権限移譲も

抗議受けベラルーシ大統領

 【ベルリン=桑野白馬】ベラルーシのルカシェンコ大統領は17日、首都ミンスクの国営工場を訪問した際、国民投票による憲法改正を通じて大統領権限を引き渡す用意があると表明しました。新憲法採択後、新たに大統領選挙を実施することにも言及。同氏の退陣を訴える大規模な抗議行動やストが国内で相次ぐ中、一定の譲歩で鎮静化を図ったものと思われます。


可能性は不透明

 同氏が支持母体である工場で演説した際にも、参加した労働者がルカシェンコ氏に「退陣を」などと叫び、ブーイングを浴びせました。国営ベルタ通信によれば、ルカシェンコ氏は一定の条件の下での大統領選実施などについて「抗議者からの圧力の下では実施されない」と述べたと言います。

 憲法改正の内容については具体的になっておらず、譲歩が国民に受け入れられる可能性は不透明です。

 ルカシェンコ氏は9日の大統領選挙で8割の得票を得て再選。しかし、国内外から選挙結果は不正だと指摘され、国内で退陣を要求するデモやストが広がっていました。

 治安部隊が抗議者を暴力的に鎮圧し、死者が出る事態に発展したことから、さらに抗議行動が拡大。13日には、ルカシェンコ氏の支持母体である各地の国営企業がストライキ実施を開始。仕事に戻らなければ解雇するとの脅迫にひるまずストを続けています。

 一部の警察員、著名なアスリートや作家が抗議デモに連帯を表明しています。16日にはミンスクで22万人の大規模デモに発展しました。

 ルカシェンコ政権の圧力でリトアニアへの出国を余儀なくされた反政権派のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏は17日、インターネット動画を通じ、公正な大統領選挙のやり直しに向け「国家指導者として責任を負う用意がある」と明らかにしました。

 ベラルーシ ポーランド、ロシアの支配を経て、ベラルーシ人民共和国が1918年3月~12月に成立。その後、白ロシア・ソビエト社会主義共和国となり、旧ソ連を構成する共和国に。91年8月25日に旧ソ連から独立宣言。反対派弾圧、集会・言論の自由を制限するルカシェンコ大統領が94年の初当選以降、5期26年にわたって現職。86年4月のチェルノブイリ原発事故では最大の被害国で、国土の17~18%が汚染され、国民の約12%が汚染地域に居住。


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