2020年8月11日(火)
やっぱり少人数学級 インタビュー編
安心して通える学校に
ファザーリング・ジャパン代表理事 安藤哲也さん
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次男が小学校入学直後に不登校になりました。次男は休ませて、僕は先生と会って1時間半話しました。その後、こんなお願いをしたんです。
「今日の夜8時に息子にファクスください。何でもいいので思うことを書いて」って。夜、息子に「明日、どうする?」って聞いたら、「う~ん」。まだ行く気にはなれてない。そこへファクスが。「さとしくんへ きょうはおやすみしてしんぱいでした。わたしはさとしくんのことをもっとしりたいとおもってます。まってるね」と書かれていました。
息子はそれを読んでしばらくして、学校に行くといいました。“僕を見てくれている”と感じたのでしょう。周りのおとなのまなざしを感じると、子どもは安心して踏み出すことができるのですね。先生が一人ひとりに目をかけられる教育環境が必要だ、と思います。
1人が40人近い生徒に教えるなんて無理ですよ。昭和初期のように、竹刀を持って生徒を統率していた時代じゃないのです。海外から来る子、障害がある子、LGBTの子、さまざまな家庭の事情を抱えている子など多様化しています。
コロナによる休校の後の分散登校で1クラス15~20人を経験し、子どもに向き合えたと先生たちもいっています。
子どもを統制する管理教育の時代は、40人に一律の授業でした。でも、いま社会が求めているのは、自分で考える力、生きる力を育てることです。それならば、授業の中身とともに、クラスのサイズも変えて、子どもにも先生にも“余白”と“のびしろ”を生み出す必要があります。
子どもたちのために、先生には、笑ってるおとなでいてほしい。先生が笑っていられるためには、校長先生がイクボスになることも大切だと思っています。
イクボスというのは、早めに帰宅したり、休暇をとって、子育てや家事をやる上司やリーダーのことです。私が12~13年前、小学校のPTA会長をしていたころの校長は、午後4時ごろ退勤し、映画を見に行って、職員会議で映画の話をしていました。トップが変わると職場の空気が変わります。早く帰って暮らしを大切にし、文化にふれると、見聞が広がる。人間が豊かになるし、笑顔になります。
その校長先生にはいろいろな相談に行き、よく「少人数にしてフィンランドみたいな教育をしてほしい」と語り合っていました。
子どもたちが安心して通える学校に変わるためには、少人数学級にして、教師の数を増やすことが必要です。そして、校長先生はイクボスになることです。
(聞き手・手島陽子)