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2020年8月7日(金)

モスク跡にヒンズー寺院

インド首相が定礎式で称賛

左派は「国教化」と批判

 インドのモディ首相は5日、北部ウッタルプラデシュ州アヨディヤで、新たなヒンズー寺院の建設の定礎式に出席し、「インド文化の現代的象徴」「国家の統一の手段」だなどと称賛しました。左翼政党からは、ヒンズー教の「国教化」、憲法違反などと批判が出ています。(伊藤寿庸)


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 1992年に、この場所にあったイスラム教のモスク(礼拝所)が、ヒンズー至上主義者の暴徒によって破壊され、深刻な宗教対立の原因となってきました。昨年11月、最高裁が、この場所へのヒンズー寺院の建設を認め、紛争に終止符を打った形となりました。判決は、モスク破壊は違法行為だったとしましたが、その責任者の処罰などは進んでいません。

 定礎式には、ヒンズー至上主義団体「民族義勇団」(RSS)のトップも出席。他方、モスク破壊に抗議する訴えを行っていた地元のイスラム教徒の代表も招待されました。地元のイスラム教徒は、インド紙ヒンズーの取材に対し「モスクと寺院が両方建設されるべきだった」と語りました。

 寺院の建設地は、ヒンズー教徒が「ラーマ神」の「生誕地」と信じる場所で、ムガール帝国時代にヒンズー寺院が破壊され、モスクが建設されたとされています。

 RSSなどヒンズー至上主義団体とその政治的代表であるインド人民党(BJP)は1980年代中盤から、このモスクが建つ場所に「ラーマ神生誕地寺院」の建設を求める草の根キャンペーンを実施。国民の宗教感情を利用して、勢力を拡大しました。2014年に就任したモディ首相もRSS出身です。

 インド共産党(マルクス主義)のシタラム・イエチュリ書記長は、「モスクの破壊を過去にさかのぼって正当化するもの」と批判。また最高裁判決は、寺院は独立した団体が建設すべきだとしていたとして、定礎式を州政府が主催し、モディ首相が出席するなど中央政府が関与したことは、「最高裁判決と憲法の精神に反する」と指摘しました。インド共産党(CPI)のD・ラジャ書記長は、「一つの宗教の事実上の国教化」であり、「共和国の世俗的、民主的性格を脅かす」と述べました。


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