2020年7月31日(金)
控訴断念 県・市に迫る
広島「黒い雨」判決 原告「救済早く」
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広島への原爆投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を浴びたのに国の援護対象外とされた地域の84人全員を被爆者と認定した広島地裁判決(29日)を受け、原告らは30日朝、広島県庁と広島市役所を訪れ、湯﨑英彦知事、松井一実市長宛てに、本判決に従って控訴を断念するよう申し入れました。
申し入れ書では、被告である市、県は「被爆地ヒロシマ」の自治体としての本来の立場に立ち返り、国(厚生労働省)と速やかに協議した上で、控訴を断念し、本判決に従って原告ら全員に被爆者健康手帳を交付すべきであり、早期救済を図るべきだと訴えています。
1978年に「広島県『黒い雨』原爆被害者の会連絡協議会」が結成された当初から中心的役割を果たしてきた牧野一見事務局長(76)は「全面勝訴の判決に、涙が出ました。『黒い雨』原告はもちろん、その他多くの人が放射能による心身の苦労、生活の苦労をされてきた。被告である市、県が主体を持って、国に左右されず、控訴しないという決断をしてほしい」と訴えました。
会長で原告団長の高野正明さん(82)は「控訴を断念するという強い意志で国に働きかけていただきたい」、事務局次長で原告の高東征二さん(79)は「病気だらけの人生で大変な状況に苦しみ、原告はもちろん、訴訟に踏みきれず、苦しんでいる人がたくさんいる。全ての黒い雨被爆者を早期に救済してほしい」と訴えました。
同日午後、日本共産党広島県委員会と辻恒雄広島県議、広島市議団も同様の申し入れを県と市に行いました。