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2020年7月27日(月)

乏しい男女共同参画基本計画素案

ジェンダー平等に後ろ向き 安倍政権のぎまん浮き彫り

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(写真)日本記者クラブの党首討論で選択的夫婦別姓に反対の姿勢を示した安倍首相=2019年7月3日

 政府の第5次男女共同参画基本計画をめぐり、21日に取りまとめられた計画策定前の「基本的な考え方」の素案は、安倍政権の女性政策のぎまん性と、世界で当たり前のジェンダー平等の推進に後ろ向きの姿勢を浮き彫りにしました。

 素案は、2003年から政府が掲げてきた、20年までに「指導的地位に占める女性の割合を30%程度」に引き上げるとの目標達成を断念し、30%の達成目標は「20年代の可能な限り早期」へと先送りしました。

女性議員比低い

 安倍政権は第2次政権の発足以来、「女性活躍」を「政府の最重要課題」(第4次計画)として看板政策に掲げています。しかし、各省庁の本省課長・室長相当職の女性比率は7%(第4次計画)という低水準の数値目標で、しかも、安倍政権の不十分な予算のもと、計画の実効性は極めて乏しいものです。

 また、与党・自民党の国政候補者に占める女性の割合は、直近で7・5%(17年、衆)、14・6%(19年、参)にすぎません。自民党自身が30%達成の足を引っ張っているのです。列国議会同盟の各国下院の調査で、日本の女性議員比率(9・9%)が193か国中166位(6月時点)と低迷しています。

 いまや“口先だけ”の計画の破たんは明確です。安倍政権こそ、目標達成の最大の障壁です。

 素案には、30%の目標が「社会全体で共有されなかった」と責任を「社会」におしつけたような記述も。21日の専門調査会の会合で「(原因は)社会だけか?(素案に)『原因が科学的に十分分析されなかった』などの記述を盛り込むべきだ」(渡辺美代子・国立研究開発法人科学技術振興機構副理事)と指摘されました。策定から17年間、なぜ未達成だったのか、政府としての責任ある検証が求められます。

 そもそも「30%」の目標自体、1990年の国連の「ナイロビ将来戦略勧告」での数値に基づく30年前のものです。現在の国連がSDGs(持続可能な開発目標)で2030年までの意思決定の完全なジェンダー平等の実現を打ち出す中、日本の周回遅れは深刻さを増すばかりです。

格差対処など注文

 計画を実効あるものにするには、市民や野党が繰り返し求めてきたように、女性差別撤廃条約(1979年成立、日本は85年批准)以来のジェンダー平等推進の流れなど、世界の到達点を踏まえた取り組みが不可欠です。

 会合でも、他国の例に触れながら、「一般職」と「総合職」という日本企業のコース別雇用による男女の昇進機会への格差に対処すべきだとの意見や、ILOのハラスメント禁止条約の批准について「タイムライン(期限、工程など)を盛り込むべきだ」など、素案への注文が相次ぎました。

 さらに、素案は、支援団体などの声や要望が一定反映された記述はあるものの、全体としては、コロナ後の社会をジェンダー平等の社会としていくための踏み込んだ計画・目標が打ち出されているとは言えません。抜本的な見直しに向け、世論を高めていくことが必要です。


 男女共同参画基本計画 男女が、社会の対等な構成員として、あらゆる分野の活動に参画する機会が確保されることなどをめざし、男女共同参画社会基本法(1999年)によって政府が策定を義務付けられた計画。計画の素案作りの専門調査会議には研究者らなどが参加し、2000年12月から、5年ごとに見直し改定され、第4次(15年)を経て、第5次計画が20年末までに策定される予定です。


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