2020年7月19日(日)
米100団体が議会に書簡
学生ローン帳消しを
感染拡大受け
米国の約100の人権団体や市民団体はこのほど、連邦議会の民主・共和両党の指導部に連名書簡を送り、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今後出される経済刺激策に、すべての債務者を対象にした学生ローンの帳消しを盛り込むよう呼び掛けました。
15日付の書簡には消費者団体パブリック・シチズンや全米有色人地位向上協会(NAACP)などが名を連ねています。
書簡は、学生ローンの返済に苦しむ人は4500万人に上り、「新型コロナによる経済危機を乗り切る用意がない」と指摘。経済格差が原因で、黒人は白人に比べて、また女性は男性に比べてローン残高が多いとしています。「放置すれば、学生ローンは景気後退を深刻にし、不平等を広げ、人種間の格差を広げ、経済回復を遅らせる」と強調しました。
学生ローンの帳消しは国内総生産(GDP)を引き上げ、雇用を創出し、国の財政状況の改善につながると研究機関も指摘しているとし、「今こそ大胆になるときだ」「家庭の支援や経済強化に取り組む際に学生ローンの帳消しを最優先課題にすることを求める」と訴えました。
米国では多くの人が学生ローンを利用し、就職難や失業で返済が滞り破産する例が後を絶ちません。米銀行によると2019年末時点のローン残高は1兆5100億ドル(約162兆円)に達しています。(島田峰隆)