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2020年7月11日(土)

主張

経済の冷え込み

暮らしの支援を急がなければ

 収入が減り、消費が落ち込み、倒産も増加―。今週公表された家計や賃金、景気などの統計は、新型コロナウイルス感染の影響で冷え込む日本経済の姿を改めて示しました。安倍晋三政権の不十分で遅すぎるコロナ対策では、深刻な事態を打開できていないことは明らかです。コロナ危機から国民の暮らしを守る緊急対策を進めるとともに、日本経済の土台を支え、立て直すために政策を大きく切り替えていくことが必要です。

悪化を示す指標相次ぐ

 日本銀行が7日発表した生活意識に関するアンケート調査(6月)では、景気が1年前に比べ「良くなった」と答えた割合はわずか0・9%で、「悪くなった」が72・1%に上りました。1年後の見通しも「良くなる」は19・3%で「悪くなる」が47・0%でした。国民が経済の先行きを厳しく見ていることを浮き彫りにしています。

 厚生労働省が同日発表した5月の毎月勤労統計調査では、実質賃金が3カ月連続マイナスでした。減少率は2015年6月以来5年ぶりの大きさです。休業をせざるをえなかった業種などの賃金の減少が大きく響いています。

 同日公表の総務省の5月の家計調査では、実質消費支出が前年同月で16・2%減でした。消費税増税された19年10月から8カ月連続のマイナスです。とくに宿泊料や飲食代などは約9割減と劇的に落ち込みました。外出自粛の影響などが直撃した形です。

 民間の信用調査会社・東京商工リサーチは8日、6月の企業倒産(負債1000万円以上)が今年最多の780件だったと発表しました。ここでも宿泊・飲食業が多くなっています。総務省発表の5月の完全失業率は3カ月連続で悪化しています。コロナを理由にした解雇や、派遣切りなどで職を失うケースも相次いでいます。

 コロナで大打撃を受けている暮らしと営業を支える対策強化は待ったなしです。政府は、雇用調整助成金、持続化給付金、家賃支援など必要な支援を迅速かつ確実に届けるため全力を挙げる時です。東京などで感染が再び広がりを見せる中、政府が「徹底した補償と一体での自粛要請」という姿勢を明確にすることが感染防止に実効性を持たせる上で重要です。

 同時に、安倍政権の下で日本経済は、コロナ以前からすでに深刻な悪化を示していました。とりわけ消費税率を14年4月に8%、19年10月に10%へと2度にわたって引き上げたことは、消費を大きく下落させ、不況をもたらしました。その大きな傷の上に、コロナという重大な危機が重なっているのです。

政治の切り替えが不可欠

 安倍首相は12年末の政権復帰以来、金融緩和と財政出動、規制緩和を柱とする経済政策「アベノミクス」を売り物にし、「戦後最長」の景気拡大をもたらしたと宣伝してきました。しかし、大企業や大資産家を潤しただけで貧困と格差を拡大したのが実態です。「アベノミクス」が経済の土台を破壊していることは明白です。

 コロナ危機を打開し、経済を再生させるには、暮らしをしっかり支える政策に転換することが不可欠です。消費税を5%に減税することは、痛めつけられている家計を助ける大きな力です。思い切った対策の実現へ力を尽くすことが重要です。


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