2020年7月10日(金)
「骨太」からカジノ消える
導入の根拠失う?
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)が8日示した経済財政運営の指針「骨太方針」の原案で、これまで毎年取り上げられてきたIR(カジノを中核とする統合型リゾート)についての記述が消えました。
同「方針」では、安倍首相が「IRは日本の成長戦略の目玉」と発言した2014年に「検討を進める」という記述が初めて盛り込まれて以降、毎年IRを取り上げてきました。
前年の19年の版では「訪日外国人旅行者数を2020年に4000万人、2030年に6000万人とする目標等を達成し、観光立国を実現する」としたうえ、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するIRの整備を推進するため、特定複合観光施設区域整備法(カジノ実施法)に基づき、基本方針の策定等に着実に取り組む」と明記されました。
今回の「原案」では「ポストコロナ時代においてもインバウンド(訪日外国人旅行者)は大きな可能性があり、2030年に6000万人とする目標等の達成に向けて、観光先進国を実現するために官民一丸となって取り組む」という文言は維持されたものの、これに続くIRについての記述は削除されました。
「原案」はその注釈で、19年の方針のうち今回記載がない項目についても「引き続き着実に実施する」とのべています。しかし、国民の大多数はいまもカジノ解禁に反対しており、コロナ禍による世界の激変で、IRカジノの事業可能性が失われたことも明らかです。
IRに関する記述の削除は、日本の成長戦略にカジノを位置付ける根拠が失われたことを、政府の側も認めざるを得なくなったことを示しています。(竹腰将弘)