2020年7月8日(水)
国外退去拒む外国人に罰則
政府専門部会提言に批判
出入国管理政策懇談会(法相の私的懇談会)の収容・送還に関する専門部会がこのほど、国外への退去命令を拒む外国人への罰則の創設などを柱とする提言をまとめ、日弁連や外国人の支援団体、人権団体から批判の声が上がっています。提言は7月中にも森雅子法相に報告され、政府は法改定を含む施策の検討に入る見込みです。
出入国管理行政をめぐっては、在留資格のない外国人を原則全員収容する「全件収容主義」のもと、入管収容施設への合理的な理由のない長期収容が横行し、抗議のハンガーストライキが多発して飢餓死を招くなど、そのあり方が鋭く問われています。
提言は、国外退去を拒む人や、収容を一時的に解除する仮放免の際に“逃亡”した人への罰則の創設を検討するよう求めています。
難民認定の申請中は送還が停止される規定(送還停止効)についても、送還を回避する手段とされているとの見方を示し、規定に「一定の例外を設ける」よう促しています。
罰則の創設について、日弁連は、荒中(あら・ただし)会長名の声明で反対を表明し、「退去しない又はできない理由や原因」が「十分に検討されていない」と指摘しています。
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)やヒューマンライツ・ナウなど6団体は共同声明で、収容期間に上限を設けることが「長期収容解消のための最も直接的かつ効果的な方策」だと強調。送還停止効の見直しについて、日本の難民認定率の低さを批判し、「難民の保護を他の先進国並みとすることが先決だ」と指摘しています。
「当局の裁量」見直しこそ
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入管行政の問題を追及してきた日本共産党の藤野保史衆院議員の話 立法事実に基づかない、罰則ありきの提言です。この方向性では、長期収容の問題は深刻化するばかりです。入管行政の根本問題は、「全件収容主義」のもと、収容する必要のない人まで収容されていることにあります。収容・仮放免の判断や収容期限について法律上の明文がなく、入管当局の裁量に委ねられている現状こそ見直すべきです。