2020年7月5日(日)
午前5時 浮く車
胸まで水 92歳父と避難
熊本・芦北 党町議、恐怖語る
|
停滞した梅雨前線の影響で4日、九州南部が記録的な大雨に襲われました。熊本県内では、土砂災害で住宅が潰される被害が多発。河川の氾濫などで早朝から各地で浸水被害が発生し、救助要請が相次ぎました。同県によると同日午後1時半現在で、17市町村で109カ所の避難所が開設し、431世帯が避難しています。
芦北町は、広範囲で冠水しました。日本共産党の坂本登町議の、木造平屋建ての自宅も浸水。自宅前の路上の水位は胸付近まで上がりました。隣家の2階に避難させてもらったといいます。
自宅は八代海に注ぐ佐敷(さしき)川の河口近くにあります。
「満潮時間帯が近づいた午前5時ごろから水位が上がり、畳が浮いた。92歳の父と二人で、自動車で避難所に向かおうとした。エンジンはかかったが、水に浮いたのかハンドル操作がまったく利かず、あきらめた」
約15メートル離れた隣家まで、父と全身ずぶぬれで避難しました。周囲で水損した車がウインカーを点滅させ、クラクションが鳴っていたといいます。
午後1時半ごろまでに自宅周辺の水は引きましたが、町内では土砂崩れや人的被害も報じられています。「すぐに現地を確認したいが、移動手段がない」
電話での町民の安否確認に追われていますが、つながらないところが多いといいます。「山手の住民が孤立していないか、気が気でない」
町内の約7千世帯の多くが被災したとみられるといいます。「1人暮らしの高齢者も多い。水に浸かった家財の片づけなどは、ボランティアの手を借りないと手に負えないだろう」と話します。(安川崇)