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2020年7月2日(木)

ピンチの望遠鏡 今年度は継続へ

国立天文台VERA 来年度からは未定

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(写真)琉球大学の観測実習にも使われてきた、VERA石垣島局の口径20メートル電波望遠鏡(宮地竹史さん提供)

 予算の削減で終了の危機にあった、国立天文台・水沢VLBI観測所(岩手県奥州市)が運用する4台の電波望遠鏡観測網が、今年度末まで継続されることが正式に決定しました。同観測所が1日、明らかにしました。

 望遠鏡網は、水沢、入来(鹿児島)、小笠原(東京)、石垣島(沖縄)の口径20メートル電波望遠鏡4台が協調し、口径2300キロメートルに匹敵する視力を実現します。銀河系の精密な立体地図をつくる「VERA(ベラ)計画」のほか、日韓、東アジアの国際共同観測で活躍し、大学教育にも重要な役割を果たしています。

 VERA計画は2022年3月まで続ける予定でした。しかし同観測所の今年度予算が昨年度(数億円)から半減されたため、計画は前倒しで終了し、6月で望遠鏡3台の運用が停止する見込みとなり、関係者に衝撃が広がっていました。

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 同観測所の本間希樹(まれき)所長によると、数千万円の追加予算が決定しました。ただ来年度以降は未定です。望遠鏡は、今後10年程度は使えるといい、4台の長期的な運用継続をめざすとしています。

 地元の天文ボランティアらで“町の宝物”を残したいと署名を集める「VERAサポーターズクラブ」の山田慎也代表は「まずホッとしている。来年度以降も予算がつくよう、頑張って署名を集めたい」と話しています。

育成の土壌奪う 畑野議員が警鐘

 日本共産党の畑野君枝議員は5月28日の衆院特別委員会で、こうした問題の背景に研究機関への国の予算削減があると指摘。低予算で効率的な経営が求められれば「基礎研究がないがしろにされ、若手研究者や(天文学者の)卵たちが育つ土壌を奪うことになりかねない」と警鐘を鳴らしました。


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