2020年6月28日(日)
主張
コロナ時代の学校
少人数学級を子どもに贈ろう
学校の全国的再開から1カ月近くがたちました。新型コロナウイルスと長期に共存する時代、いわゆる「ウィズコロナ」のもとで、学校の改革が多くの点で求められています。なかでも、少人数学級の実現は焦眉の課題です。
教育への効果はてきめん
子どもたちは学校再開を喜んでいますが、「毎日の宿題が終わらない」「前を向いて無言の給食はいや」などの悩みも少なくありません。周りの子どもと関係がつくれず、教員のそばを離れない子どももいます。専門家は「おとなだとストレスを減らす行動がとれる。子どもは気持ちをのみ込んで我慢してしまう」と指摘します。
それだけに、子ども一人ひとりの学びを支え心のケアを行う、手厚く、柔軟な教育がどうしても必要です。逆に、学習の遅ればかり気にして授業を機械的に詰め込めば、子どもに新たなストレスを課し、学習も身につかないという深刻な結果となりかねません。
学校再開直後の「分散登校」では、各地の学校で一時的に十数人の授業となりました。「子ども一人ひとりの表情がよくわかる、コミュニケーションもとれる」「一人ひとりの勉強のつまずきを丁寧にみられる」など効果はてきめんです。少人数学級が手厚い教育、柔軟な教育にいかに有効かが、全国の経験となりました。
感染拡大防止の点でも、現在の「40人学級」は無理があります。子どもは、直接触れ合って育つだけに身体的距離のしゃくし定規な強要はできません。しかし、一番長く座っている授業の席は身体的距離の保障をめざすのがおとなの責任です。また、教職員は、消毒などの新たな作業に追われ、疲れ果てています。
どこから見ても、教職員増と少人数学級の実現は待ったなしです。日本共産党は2日、学校再開にあたっての提言を発表し、10万人の教員増とそれを活用して子どもに少人数学級をプレゼントしようと呼びかけました。提案には多くの賛同が寄せられ、提言を学校に届けると、どこでも教職員増と少人数学級への期待が語られます。
国会では、志位和夫委員長が政府に少人数学級のとりくみを提案し、安倍晋三首相は「コロナ後を見据えて検討していきたい」と応じました(10日の衆院予算委員会)。
世論も広がっています。全国連合小学校長会会長は「ウィズコロナ時代では20~30人が適当では」(「日経」22日付)と述べました。中央教育審議会の部会でも複数の委員が少人数学級に言及しました。
国の制度は小1~2は「35人学級」で、あとは高校まで全て「40人学級」です。欧米は20~30人学級で、日本の遅れは明らかです。
草の根から国民的運動を
10万人教員増にかかる予算は数千億円です。これは、第2次補正予算に盛り込まれた予備費10兆円の数%にすぎません。この措置を来年度以降恒常化しても、先進国で最低の日本の教育予算の水準(教育公財政支出の対GDP比)は2・9%から3・0%強となるだけで、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の4・0%にまだまだ及びません。
学校再開後の子どもと教育を語り合う。署名などを広げる。地方自治体から声をあげる―。草の根から少人数学級実現の国民的な運動を大きく広げましょう。