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2020年6月23日(火)

新型コロナ 米南部 感染者急増

トランプ政権 対策講じず

「現実無視」痛烈批判も

 【ワシントン=遠藤誠二】世界最多の新型コロナウイルス感染者・死者数を出している米国では、一度増加が沈静化していた新規感染者数が、6月に入り再び増加しました。トランプ大統領が強力に進めた各州の経済再開の結果とみられていますが、政権は問題の深刻さを認めず、対策も講じようとしていません。


 米国の感染者は現在、約228万人、死者は約12万人(6月22日現在。ジョンズ・ホプキンス大調査)。19日の新規感染者は約3万2000人(米疾病対策センター=CDC)で、感染拡大が深刻だった4月下旬のレベルに戻りました。

 爆発的な感染拡大が起きたニューヨーク州をはじめ、ニュージャージー、マサチューセッツ、メリーランドなど北東部各州は現在、感染者・死者数が大幅に減少しています。

 一方で、フロリダ、テキサス、アリゾナ、サウスカロライナ、オクラホマなど南部・南西部の各州は、新規感染者が劇的に増加。すべて共和党が知事を務めています。フロリダ州は19日の新規感染者数が3822人となり、8日の966人の4倍に。19日の新規感染者数は、テキサス州で4135人(7日の4・4倍)、アリゾナ州で3465人(5月31日の6・3倍)となりました。これら州は、検査結果の陽性率も上昇しています。

 新型コロナウイルス対策本部責任者のペンス副大統領はウォール・ストリート・ジャーナル紙(16日付)に寄稿し、「(事態はウイルス拡大の)第2波でない」「50州中、半数以上で新規感染者は減少か安定している」「われわれは見えない敵とのたたかいで勝利している」と強調。新規感染者が拡大している州では検査数の増加が理由で、特定の場所での増加にすぎないと主張しました。

 しかし感染拡大開始から3カ月以上たっても全米規模で新規感染者が増え続けていることへの十分な説明はありません。北東部諸州では検査数が飛躍的に伸びるなか感染者は減っており、副大統領の主張と矛盾します。

 ワシントン・ポスト紙18日付は社説で、南部諸州では検査数も増えているが「陽性率も上昇している」として、新規感染者増は検査数増加が理由でないと指摘。「大統領と副大統領は、現実を無視することで自身の信用を台無しにしている」と痛烈に批判しました。

 トランプ大統領は20日、新規感染者が増えている南部オクラホマ州で室内演説会開催を強行。1万人の聴衆を前に、感染者増は検査数増の結果だとして、「お願いだから検査の速度を緩めてくれ」と発言。ある州では新型コロナによる18歳以下の死者が1人だと紹介し、「(若者は)偉大な免疫がある。学校も再開してほしい」と述べました。


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