2020年6月22日(月)
NTT西契約社員
コロナ禍の賃金減一部補償
JMITU通信本部が実現
一律補償・拡充へさらに
NTTに対してコロナ禍で労働者の生活を守るよう要求しているJMITU(日本金属製造情報通信労働組合)通信産業本部は、業績給を激減させている営業職の契約社員の補償を一部実現し、さらに拡充するよう求めています。(田代正則)
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NTT西日本のグループ会社、NTT西日本ビジネスフロントは、中小企業向けにICT(情報通信技術)を活用した通信機器やシステムを営業・販売しています。従業員2400人で、実際に訪問営業をしているほとんどが契約社員です。
コロナ禍で過密を避けるため、需要増が見込まれる分野にもかかわらず、契約社員は緊急事態宣言による営業自粛で生活不安が広がりました。
契約社員の賃金は、基本賃金が月約20万円に対し、「インセンティブ(業績)手当」が平均20万円と大きな比重を占めています。営業できなければ、基本賃金だけでは手取り12万~13万円になります。休業の扱いとなり、休業手当の最低限6割支給なら10万円を下回ることも予想されました。
業績は契約・工事などを経ておよそ2カ月遅れて賃金に反映するため、6月から賃金の大幅減少が焦点になります。
50代の男性は、「4月も5月も営業実績ゼロでした。お客さまが了解すれば訪問できるといいますが、どこからも希望はありません」と話します。
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JMITU通信本部は、4月20日、過去1年間の平均にもとづきインセンティブ手当を含めた賃金を補償するよう要求しました。
会社は5月、基本賃金は全額支払い、インセンティブ手当は昨年平均の50%を出すと回答しました。
さらにJMITU通信本部は、インセンティブ手当の平均額である20万円を全員一律に最低限補償し、業績の高い人は80%に引き上げるよう求めています。
前述の男性は、「JMITUが要求したことで、会社もすぐ対応した。しかし、業績には地域格差があるので、一律補償してほしい」と話しました。
ICTの営業・販売には、その中小企業に応じてシステム導入を提案できる専門知識や技術、経験が必要です。事務機器メーカーなど競合他社も多く、会社側も組合との交渉のなかで「(契約社員が)ほかに行ってもらっては困る」と述べています。
NTTには10兆円を超える内部留保があります。JMITU通信本部は、契約社員の基本賃金がもともと低く、5年で無期雇用転換しても昇給しないことを指摘し、安心して働き続けられるよう賃上げを求めています。