2020年6月16日(火)
「森友」問題 「再調査を」35万人
自殺職員の妻提起 国に署名提出
|
財務省が国有地を不当に値引きして大阪市の学校法人に売却し、公文書の改ざんにつながった森友学園問題。改ざんを強制され自殺した財務省近畿財務局員の赤木俊夫さんの妻、雅子さんがネット上で展開した「有識者による第三者委員会での調査」を求める署名には35万2659人分が集まり、15日、代理人弁護士2人が内閣府に提出しました。
俊夫さんは「(改ざんの)指示もとは佐川(宣寿)元(財務省)理財局長」などとする手記を残して2018年3月に自殺。雅子さんは今年3月、国と佐川氏を相手取り提訴しています。
ネット署名は今年3月に開始。署名のほか、1万2000件のコメントが寄せられました。「身内を不当に優遇し、ゆがみを赤木さんに押し付けた安倍政権」などの書き込みがあり、会見した生越照幸弁護士は「多くの方が怒っている。民主主義の現状に対する怒りが形になったと認識している」と語りました。
「真実を」妻、一念
森友学園問題で公文書の改ざんを強制され、財務省近畿財務局員だった夫を自殺で失った赤木雅子さん。15日の署名提出では代理人を介し、「夫がなぜ自死に追い込まれたのか」「真実が知りたい」「再調査を実施してください」などとする自筆のメモを公表しました。
集まった署名35万人分はA4判の両面印刷で段ボール5箱分。代理人弁護士2人がこの日、内閣府に提出したほか、データを記録したDVDを麻生太郎財務相と衆参両議長に届けたといいます。
雅子さんのメモは「当時、財務省・近畿財務局の中で何が行われどのようにして夫が改ざんすることになったのか」「改ざんを招いた土地取引に問題はなかったのか」と疑問を呈し、有識者による第三者委員会の立ち上げと公正中立な調査を求めています。
また、署名賛同者に向けたメモでは「このような沢山(たくさん)の人達が応援してくれることを知ったら、夫は自死まで追い詰められなかったかもしれない」「夫も喜んでいると思う。署名は仏前に置いてあげたい」と感謝を表明しました。
松丸正弁護士は、俊夫さんが手記に「改ざんに関わった者としての責任を考えてきたが、事実を公の場で説明できず、今の健康状態ではこういう方法しかない」という趣旨の文章を残して亡くなったことを指摘。「事実を調査委や裁判の場で明らかにしたいという雅子さんの思いが、この署名運動の力になっている」と語りました。